入社時に渡されたポケットベル。番号が表示されると、猛ダッシュで電話ボックスに向かった。ピーピー鳴る小さな端末に時々、煩わしさを感じながらも社会人になった実感を味わった

(資料写真)ポケットベル

▼現在、国内で唯一ポケベル事業を展開する東京テレメッセージが来年9月にサービスを終了する。平成初期に流行したが、携帯電話の普及で利用者が減少したためという

▼番号の通知から、「0840(おはよう)」など数字の語呂合わせや変換表に基づく文字メッセージを送ることができ、仕事だけでなく友人らとのコミュニケーション手段として重宝された

▼タップひとつで表情や気持ちを表す絵文字、メッセージが出る便利なスマホに比べ、限られた画面内で伝える工夫が詰まっていた。メッセージを数字で表す限界はあったものの、試行錯誤して会話を楽しめる一面もあった

▼ポケベルのサービスを終える一方で、同社は自治体向けの防災無線分野に、新たに活躍の場を移す。建物内や地下での受信に強い電波の特性を生かし、文字や音声に変換する情報配信サービスを展開し、今後はこれに注力するという

▼通信機器が目まぐるしく進化する中、姿は消えても新たな端末に強みを残す頼もしさ。一時代を築いたポケベルに送る言葉があるとすれば、「5963」「999」だろうか。(赤嶺由紀子)