沖縄県久米島町兼城の久米島特産品開発は、無添加の「島にんにく入り油みそ」など特産品を作って25年目の会社。社長の田場恵子さん(63)は島の大家族の長女で、幼い頃から磨いた料理の腕をいかんなく振るう。島の恵みと向き合う原点は、捨てられる規格外の農産物の山を「もったいない」と使い始めたことだ。(南部報道部・堀川幸太郎)

紅芋から作った紅芋チップスとスティック

島の恵みと向き合う姿勢が農家からも信頼される田場さん。手に持つ油みそは、島のニンニク、トウガラシから特産品を作れないかとの話で開発した=11月27日、久米島町兼城

紅芋から作った紅芋チップスとスティック 島の恵みと向き合う姿勢が農家からも信頼される田場さん。手に持つ油みそは、島のニンニク、トウガラシから特産品を作れないかとの話で開発した=11月27日、久米島町兼城

島の恵みを余さず

 島にんにく入り油みそは、米そのものの粒が残る米みそを使い、食感とうまみ豊か。ニンニクの風味がほんのり香り、ご飯のはしが進む。島トウガラシを加えたピリ辛もある。田場さんが、農家から「島野菜で商品開発ができないか」と持ち込まれた話を形にした。

 田場さんは1994年、仲間と会社をつくった。当初は純黒糖の一本勝負。製糖期から外れ、捨てられていたキビを使った。大きな搾り機などを買い、10トントラックが運ぶキビで連日、商品を作った。農家の新たな収入源を生んだからこその忙しさだった。

 味がよく、加工黒糖より高値でも売れた。商品の広まりは創業5、6年後、皮肉な形で実感した。卸先がつぶれ、数千万円単位の売掛金を回収できなかった。

 それでも田場さんはへこたれなかった。今度は畑の脇に山積みされた規格外の紅芋から紅芋チップスとスティックを作った。店に置いてもらうよう頼み歩いて数年後、紅芋菓子の素朴な甘みは評判を呼び、会社を立て直せるほどになった。

 好相性の揚げ油選びなど素材を生かす料理センスは、大田の酒造会社の5人きょうだいの長女で父母、祖父母、曽祖母らの家族10人のご飯を毎日作った子ども時代から培った。沖縄料理店も18年間営んだ。市場に並ばない島の農産物から特産品を生み出す手腕は「島の恵みを余さず広めたい」との思いからだ。

 久米島特産品開発の商品は7~9日、那覇市のタイムスビルで開く「観光・物産と芸能フェア」で販売する。島にんにく入り油みそ(150グラム450円)、紅芋チップス(70グラム350円)などを販売する。問い合わせは同社、電話098(985)4602。