外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案を巡り国会がヤマ場を迎え、与野党の攻防が激しさを増している。

 審議している参院法務委員会の横山信一委員長(公明党)が6日の理事会で採決を提案すると、反発した野党が委員長解任決議案を提出した。解任決議案が参院本会議で否決されるまで、委員会での採決はできず、7日の本会議以降にずれ込んだ。

 野党は山下貴司法相の問責決議案も出してさらに抵抗することを検討しているが、与党は7日の法案成立を強行する構えを崩していない。

 「丁寧に説明する」と最初は低姿勢でも、最後は数の力で反対や異論をねじ伏せる。安倍政権が繰り返してきた力ずくの強引な手法がまた使われるのは想像に難くない。

 日本の社会や経済を変える可能性のある重要なテーマである。にもかかわらず、どのような技能を持った人に新たな在留資格を与え、どの分野で何人受け入れるのかなど、肝心な点は成立後に分野別運用方針や政省令で定めると先送りし、議論を避けている。多くの課題や疑問が手つかずのまま山積みになっている。

 これでは国会がチェック機能を果たしていることにはならない。野党が「国会軽視の白紙委任法案」と批判するのも当然だ。与党はこのまま採決に突き進むなら、立法府の役割を放棄するに等しい。

 参院の与党に「良識の府」「熟議の府」としての自負があるなら、採決を前提とせず、問題点を議論し、審議をやり直すべきである。

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 法案の骨格は、人手不足に悩む産業分野で、外国人労働者を「特定技能」という新たな在留資格で就労してもらうというものだ。だが、審議で焦点となってきたのは従来の外国人技能実習制度だった。

 技能実習の名の下、低賃金や長時間労働などの問題が指摘され、人権侵害との批判も後を絶たない。野党は同制度の検証が先だと主張してきたが、政府は実習制度と新制度は「別物」と取り合わない。

 新たに設ける「特定技能」には、一定の知識と経験を要する業務に就く1号と、熟練した技能が必要な業務に携わる2号とがある。

 特定技能の資格で受け入れるのは1号が大半を占める。技能実習生は3年以上在留していれば、1号の資格を得られ、さらに5年の在留が認められる。実習制度が新制度の土台になっているのは明白である。

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 政府が別物と主張するのは、単純労働者は受け入れないという入管政策の建前が根本にある。だが、コンビニやホテル、飲食店などで働く外国人も、われわれ社会が必要としている労働者である。

 いびつな建前を守るあまり、重要な議論が尽くされないのは本末転倒である。

 必要な外国人労働者の人権を守り、どう社会に包摂していくのかも示されていない。このままでは外国人との間に分断や対立が起き、深刻な社会問題となる恐れがある。政府・与党は問題を直視し、禍根を残さないよう拙速に成立させてはならない。