高齢化社会を迎え、歯科診療所にも多くの薬を飲んでいる患者さんが来院します。今回は歯科に関連する薬の副作用についてお話しします。

(いらすとや)

 抗てんかん薬、高血圧治療薬のカルシウム拮抗(きっこう)薬、免疫抑制薬などを長期にわたって飲むと歯肉の肥大を発症することがあります。この副作用によりお口の手入れが困難になった場合、主治医と連携し現在のお薬の調整ができないか相談します。

 唾液の分泌が著しく減少した場合に起こる口腔(こうくう)乾燥症は、催眠薬や抗うつ薬など脳に作用する薬や、副交感神経という唾液の分泌を促す神経を遮断する薬の副作用としてみられます。口の中が乾燥状態になると、入れ歯の安定感がなくなる、歯周病になりやすい、飲み込みにくいなどの症状が出ます。

 歯の形成期に薬物を投与すると、形成不全や着色を起こすことがあります。代表的なものとしては、テトラサイクリン系抗菌薬によるエナメル質形成不全や歯の着色があります。亜鉛は味覚に関わり、亜鉛と結合する薬物は味覚障害を起こすことがあります。

 薬の副作用とは違いますが、歯科治療時に注意が必要な薬物として、骨粗しょう症治療薬であるビスホスホネート製剤(BP製剤)があります。強力な骨吸収抑制薬であるBP製剤の長期投与で、抜歯などの外科的処置によりあごの骨が壊死(えし)してしまうリスクが高まるといわれています。骨粗しょう症の治療前に歯科治療やお口の衛生管理をして薬物治療を開始することが必要です。また、抗血栓薬と呼ばれるいわゆる「血液サラサラ」の薬を服用中は、抜歯などの出血を伴う処置に細心の注意が必要です。

 お薬手帳は、病院や薬局で受け取った薬に関する情報を一冊にまとめたものです。薬の情報だけでなく副作用やアレルギーの有無、使用後の体調の変化なども記入できます。薬の重複や相互作用・副作用の防止などに役立ちますので、歯科を受診する際にも忘れずに携帯してください。(山城 正裕 那覇市・山城歯科医院)