【うるま】結婚後、妻が嫁入り道具として持参した大切な足踏みミシンを再び使いたい-。市高江洲に住む元県議の上原政英さん(83)と妻の和子さん(83)夫妻はこのほど、壊れて動かなくなっていたミシンの修理を中屋総合ミシン店(那覇市)の棚原弘明さん(78)に依頼した。1時間ほどの作業を経て、約15年ぶりに息を吹き返した。

中屋総合ミシン店の棚原弘明さん(左)による修理を終えて、再びミシンが動き出したことを喜ぶ上原政英さん=うるま市高江洲の自宅

 1962年に結婚後、和子さんは新品の「シンガーミシン」を嫁入り道具の一つとして持ってきた。ぞうきんを縫って子どもたちに学校に持たせるなど、成長に合わせてミシンを使ってきた。かつて洋裁店でのアルバイト経験のある政英さんも、趣味の釣り道具を入れる袋を自ら縫うなどミシンはお手の物。「妻を大事にするのと同じように」愛着を持っていた。

 だが、年とともに視力が悪くなって使う機会は減り、次第にミシンも不調に。とうとう15年ほど前からは使わなくなった。

 修理のきっかけは、新聞で足踏みミシンの修理をしているという棚原さんの記事を見たこと。政英さんは「今は何でも使い捨てをしてしまう世の中。物に感謝し、使えるものは大事に使うということを子や孫に伝えていきたい」と思い、修理を依頼した。

 ミシンは、棚原さんが仕事を始めた1957年頃に売られていたものと同じタイプだという。棚原さんは古くなったボビンケースを取り換え、針を上げ下げするプーリーや足こぎの部分に油を差して滑りをよくするなど作業を進め、1時間ほどでミシンをよみがえらせた。「長い間こうした古いミシンを売ってきたので、やっぱりかわいいと思うね」と優しいまなざしで愛機を見つめた。

 和子さんは「ずっと置きっ放しにしていたミシンが、まさかまた使えるようになるなんて。夢のよう」と目を細める。そばで作業を見守っていた政英さんは「今後は地域の子どもたちにも足踏みミシンの使い方を見せたい」と意気込んだ。