ベトナムはこんな国

 欧米諸国や日本など外国の侵略と戦争の歴史が長く続いたベトナムは、第二次世界大戦後も領土支配をめぐってフランスやアメリカと激しい闘いを強いられてきました。分断されていた南北ベトナムが統一して社会主義共和国として独立したのは1975年のこと。その後も国内紛争、カンボジアや中国との戦争が続いたため、完全に終戦を迎え、社会主義国家として発展を開始できたのは1981年になってからのことです。経済活動が本格化してわずか40年足らずですが、その発展のスピードは目覚ましく、今や、世界から注目される経済規模となっています。現在のベトナムの産業構造はどうなっているのか、人々の暮らしはどのように変化しているのか、現地の様子をお届けすることで、皆様のベトナムへの関心をより引き出すことができればと思っています。

 ベトナムの人口は9650万人。北部の首都で経済・工業の中心といわれるハノイ市と、観光産業が盛んな南部ホーチミン市の2都市に人口が集中しています。平均年齢 は31歳と若く、(平均寿命は女性 81歳、男性72歳)、 GDP(国内総生産)が 2,385 USドル、経済成長率が6~7%程度と活気があります。

2008~17年までの経済成長率(%)

  2018年時点でワーカーレベルの月間平均賃金は2.5万円程度なので、 外資系メーカーや製造企業にとっては非常に魅力がある労働市場です。

 2018年の 6月末まで FDI(海外から直接投資)の総投資額は203億ドル。そのうち、 39%が製造系、27%が不動産、7%が小売・卸販売、 27%がその他でした。

ベトナムに最も投資している国は?

 うれしいことにこの期間で一番ベトナムに投資している国はなんと、日本なんです。具体的には日本が64.7億ドル、次は韓国が50.7億ドル、シンガポールが23.9億ドルです。日本は2017年に4年ぶりにベトナムへの直接投資額が韓国を抜いて首位となりました。大手商社による石炭火力発電所建設など多額のインフラ投資があったことが背景にあります。

 ベトナム国内の産業のうち、最もGDPに貢献しているのは工業と農業、サービス業です。特にサービス業は消費力の向上や観光需要の高まりなどから、ここ数年でさらに伸びています。ただし、労働人口は40%程度を農業分野が占めており、農業従事者の割合はまだ非常に高いです。

 経済が発展し続けているので、給与も年々上昇しており、オフショア外資系企業に限らず、メーカー系の外資と内資企業も苦戦している現状があります。工場で働いているワーカースタッフの平均給与は月収2~3万円程度、ホワイトカラーの平均給与は 6~7万円程度です。先進国と比べるとベトナムの賃金がまだとても安いので、非常に魅力的ですが、毎年5~10%上がっていくという前提であれば、コストに厳しいメーカー企業とITオフショア会社にとって非常に大きな課題であることは間違いありません。
 

 


 特にIT/WEBエンジニアの給与は圧倒的に上がっています。ベトナムのエンジニアが優秀であるにもかかわらず、給与は日本人のエンジニアの2分の1、3分の1の水準という魅力的な市場にひかれ、オフショア日系企業がこれまでたくさん進出してきましたが、この2~3年の間で、状況は一変しました。優秀なエンジニアなら、月収 30~40万円というのも当たり前となり、エンジニアの賃金が安いというのは現実ではなくなってきているのです。

 ここで少しベトナム人の特性や暮らしぶりについて、ご紹介したいと思います。ベトナムは大きく分けて北部、中部と南部の3つの地域によって気候や文化が異なり、人々の性格にも多少違いがあります。

 ベトナムの南は自然に優れていて、年中暖かく、台風や洪水などはほとんどないので、南部で住んでいるベトナム人は他の地域よりわりと明るくてフレンドリーと言われています。

 中部は毎年台風と洪水が来るので、南部の人より暗いと言われていますが、一番真面目に働くというイメージがあります。企業の採用活動でも、よく候補者の出身地を話題にしますが、「中部出身」というといい印象を与える傾向があるともいわれています。

 北部には首都ハノイがあります。雪は降りませんが、日本のように四季があります。南部と中部の人よりクールな感じがあり、商売の能力に長けた人が多いといわれています。

 そして、人の性格の違いだけではなく、言語も北部、中部と南部で発音に違いがあります。ベトナム人同士でも、地域が違うとお互いが何を喋っているか分からない時がよくあります。特に中部の発音はとても特徴的。日本の関西弁と少し似ていますね!

 テレビなどでベトナムの映像を見るとき、バイクが多いことに気づくのではないでしょうか。普段の移動はバイクが中心で、至る所にバイクがあふれています。バイクを持っていない家庭はほぼないというくらい、欠かせない乗り物です。中でも昔からの人気ナンバーワンブランドは、日本のホンダです。車ではトヨタで、日本の製品がベトナムで非常に信頼されていることの証しといえます。それによって、ベトナム人は日本人のことを尊敬し、信頼しているのです。

 

ランチ100円、ミルクコーヒー70円から

 ベトナムの物価は、経済成長とともに二極化が進んでいます。分かりやすい事例では、屋台を含む地元にある昔ながらのお店のランチは 安いところで100円程度、標準的なお店でも 200円前後です。一方で、都市部の高いところは 1000~1500円で、日本とあまり変わりません。ベトナム料理で有名な「バンミー (Bánh mì)」や、練乳が入っているミルクコーヒー (cà phê sữa đá)は屋台など安いところで70円、高いお店では それぞれ350円で5倍の差があります。

 ベトナムではコーヒーの文化があり、コーヒーショップが圧倒的に多いのですが、近年はおしゃれな店舗が続々とできていて、高めの料金設定にするところも増えてきています。

 住まいは、まだ一人暮らしは少なく、ほとんどが家族や友達、親戚と暮らしています。家賃は学生向けの住まいで一人当たり5000円~ 1万円程度。普通のサラリーマンの場合は収入によりますが、一人あたり1万~3万円が相場となっています。

 大学を卒業した人々の多くは、ホーチミンや、ハノイ、カントー市など都市部に出て、企業に就職しています。大学を出ていない人たちは工場でワーカーとして働いているか、農業に従事する人が多くいます。

 国全体の平均年齢は年々上昇し、現在は31歳。ちなみに、結婚の平均年齢は24.6歳です。ベトナム人女性は男性よりよく働きます。そのため、ベトナムにある日系企業は女性を優先的に採用している傾向があるように感じます。結婚後、退職する人がまだ少なくない日本とは異なり、多くのベトナム人女性は結婚後も出産後も働き続けます。

 日本では、残業の多さが社会問題になっているようですが、ベトナムの社会においては残業は少なく、ほとんど問題になりません。結婚し、家庭をもっている人たちは家族と過ごす時間を大事にし、仕事が終わったら、すぐに家に帰って一緒に食卓を囲みます。独身の間は、就業後の時間を語学習得などの勉強にあてている人が多く、勤勉です。外国人から見るとベトナム人は勉強熱心と言われています。一方で、転職率は高く、だいたい2~3年のペースで職を変えている人が多いです。よりよい給与、福利厚生、上司との関係を目指して転職を繰り返す傾向があります。

イオン、ファミマ、セブンも進出

 経済成長に伴って景気がよくなり、ここ数年で様々な変化がありました。身近なところでは、道路と建物が次々と新しくなっています。私の実家は地方の田舎で、自宅から中学校までの道はつい最近まで舗装されていない、でこぼこ道でしたが、この1年で大きなコンクリート道路ができて、車が通れるようになりました。もちろん、ホーチミン市のような大都市はさらに発展していて、人々の暮らしを豊かで便利にするサービスがたくさん生まれています。中でも、イオンやファミリーマート、セブンイレブンのような日系・外資系スーパーとコンビニはこの3年で急速に店舗網を拡大しています。

 

 いかがでしょうか。ベトナム経済の変化、活気ある暮らしぶりが少しでも伝わりましたでしょうか。

 私は、ベトナム南部の出身です。貿易大学を卒業してから、日系企業向けの人材紹介会社を立ち上げ、1年後には会社を売却し、日本の人材サービスのエンジャパンに転職しました。東京都西新宿にある本社で1年ほどトレーニングを受けた後、エンジャパンが買収したベトナム最大規模の人材サービス会社Navigos(ナビゴス)に出向しました。3年間、日系企業向けの営業や、ベトナム人の採用、プロジェクトリーダーなど経験させていただく中で、日本企業との連携による新たなビジネスの可能性を見出すことができました。2017年7月にNavigosを退職して起業したEDEN PARKという会社で現在、ベトナムへの進出を目指す日系企業をサポートしています。

  6年前に知り合った日本人の友達は沖縄出身でした。初めて会った時、ベトナム人だと思って、ベトナム語で挨拶しましたが、日本語で答えてくれました。その後分かったのは沖縄はベトナムの南部の気候と近いということ。そんな理由で人の見た目と性格もある程度似ているのだと思いました。

 友人ができたことで、沖縄に非常に興味を持つようになりました。沖縄は自然豊かで独特の文化があります。ご縁があって、昨年9月、出張で初めて沖縄を訪れました。きれいな海をみることができて満足でした。

 沖縄産の商品はベトナムマーケットにとてもマッチしている商品が多いので、今後沖縄産の商品をベトナムに輸入、展開したいと考えています。沖縄とベトナムの架け橋として、お互いの交流とビジネスチャンスを増やすことに貢献していきます。

 コラムを通して、沖縄や日本の皆さんにベトナムをより身近に感じていただけると嬉しいです。次回は、ベトナムで成長している注目の産業についてもっと詳しくご紹介したいと思います。

Reference(参照)

http://worldpopulationreview.com/countries/vietnam-population/

https://www.gso.gov.vn/Default_en.aspx?tabid=491

http://edenpark.com.vn/