子宝に恵まれた時、あれこれ頭を悩ませるのが名前。字画は悪くないか、音の響きはどうか。私の場合、シンプルさを心掛け、漢字の使い方が斬新なキラキラネームは性に合わなかった

▼こちらは、思い切った命名が物議を醸している。東京都心を走るJR山手線の約半世紀ぶりの新駅が「高輪ゲートウェイ」に決まった

▼JRの都内の駅でカタカナの単語が入るのは初めて。基幹路線の山手線29駅は「新宿」「品川」といった“正統派”が占める。案の定、発表直後から批判が相次いだ

▼名前を公募したことも拍車を掛けた。寄せられた約6万4千件のうち1位は「高輪」8398件。2位「芝浦」は4265件。「高輪ゲートウェイ」は36件で130位。それなら公募の意味がないじゃないか、という指摘はうなずける

▼新駅ができる一帯はリニア中央新幹線開通をにらみ、JR東日本が約5千億円をかけた再開発を計画する。その地に見合う名を、との思惑が同社にあったようだ。インターネットで始まった撤回署名の呼び掛けには1週間で3万人超が応じた。反響が大きいほど宣伝効果として成功と言えるのかもしれない

▼生まれたばかりの赤ん坊を名付ける親の願いは、健やかな成長。新たな東京の玄関口という前評判に負けない街に育てば、今の騒動は懐かしい昔話に変わる。(西江昭吾)