琉球朝日放送の番組『十時茶まで待てない!』が、パートタイマーや主婦層を中心に人気だ。パーソナリティーを務めるのは、泉&やよい(喜舎場泉さん・城間やよいさん)。職場や家庭で慌ただしい朝の仕事を終えた人が、一息つく時間の「十時茶」。ほっとする時間に、新鮮で楽しい話題を伝える。泉&やよいは「沖縄の風土に根差した、沖縄でしかできない番組」と話す。視聴者の心をつかみ、番組は4年目を迎えた。(運動部・當銘悠)

お決まりのポーズを決め、風土に根差したしまくとぅばを意識していきたいと話す泉&やよい=6日、那覇市久茂地・琉球朝日放送

今年2人1役で「島口説」を演じ新境地を開いた=6月30日、浦添市・国立劇場おきなわ

お決まりのポーズを決め、風土に根差したしまくとぅばを意識していきたいと話す泉&やよい=6日、那覇市久茂地・琉球朝日放送 今年2人1役で「島口説」を演じ新境地を開いた=6月30日、浦添市・国立劇場おきなわ

主婦層中心に人気

 「ぐすーよー。メッセージ待(ま)っちょいびんどー。(皆さん、メッセージ待ってますよ)」。「今日(ちゅう)ぬ天気見(ん)ちんだな(今日の天気を見てみましょう)」。

 2015年10月にスタートした番組は、しまくとぅばを交えた2人のテンポよいやりとりが人気だ。

 役どころは休憩中のパートタイマーという設定。そのため普段は「泉」「やよい」と名前で呼び合う2人も、役柄を意識して「喜舎場さん」「城間さん」と苗字で呼び合う。

 今日の天気や旬の人を招いたトーク、県内のニュースも紹介する。また曜日替わりのコーナーを設け、体操や那覇市の魚市場「泊いゆまち」のお魚情報を発信するなど、生活に役立つ情報が盛りだくさんだ。

 2人が沖縄独特のお笑いを目指したきっかけは二つ。1988年、学生時代にコンビを結成。学園祭でしまくとぅばを使ったコントを披露すると、思った以上に笑いが起きた。

 泉さんは与那原町、やよいさんは西原町の出身。両親が話すしまくとぅばに日常的に慣れ親しんできたが、この時、お笑いに生かせると気付いた。

 当時、沖縄で不動の人気を誇ったお笑いコンビ「ニーニーズ」の存在にも大きな影響を受けた。泉さんは高校生の頃から大阪の吉本興業に入るのが夢だった。だが「沖縄を題材にしたら面白い。なんで大阪に行こうと思ったんだろう」。この時、沖縄で活動することを決意した。

 やよいさんはこの仕事を始めてから、しまくとぅばの奥深さを知った。明治以降、沖縄の「復帰」前後まで、しまくとぅばは学校で方言札などで使用を禁止されてきた。だからこそ「年配の方には特に、しまくとぅばが求められていたのでは」と振り返る。

 沖縄芝居をけん引してきた大宜見小太郎さんらの演技や言葉に触れ「もっと勉強したい」と思いが募ったという。今年、北島角子さんが長年演じた「島口説」に2人で挑戦、新境地を開いた。しまくとぅばを交えて伝える「十時茶~」も、笑いを交えて沖縄の文化や経験を伝える大切な仕事だ。

 番組を企画した琉球朝日放送報道制作局の比嘉雅人制作部長は、続ける中で変化も感じている。開始当初は視聴者から「大半は何を言っているか分からないけど、なぜか面白い」といった反応があった。

 その後、泉&やよいが、しまくとぅばを話した後に共通語で言い直すなどの工夫もした。現在では「話の流れの中で、なんと言っているか分かるようになってきた」という声が増えてきた。

 当初想定していた県内の視聴者だけでなく、県外の人気も高い。観光客や「ネット配信を見た」とブラジルやアメリカの県系移民の人々から感想が寄せられる。2人のしまくとぅばの語りが、沖縄という地域を超えて人々を結び付けている。

 比嘉部長は「世代をつなぐような番組になってほしい」と話す。言葉には文化が詰まっている。「沖縄の文化を下支えする言葉に親しむきっかけになってもらえれば」と期待する。

 泉さんは「子どもが『これ何て言っているのー?』と聞いたら、親や祖父母が『こういう意味だよ』と答えるような、そんな老若男女が親しみを持てる番組にしたい」と話す。

 やよいさんは「宮古や与那国など、各地の言葉も織り交ぜていけたら」とさらなる課題を挙げた。