半年ほど前、医師で小説家の知念実希人さんが、文化面のコラムで最近の医者の服装の変化について書いていた。「診療の際、ネクタイは締めない方が良い、という認識が少しずつ広まりつつある」と
▼いろんなところに触れやすく、かといって頻繁に洗うことのないネクタイには、病原体がすみついている恐れがあるからだ。そういえば、久しく見ないナースキャップも、同じようなことが言われていた
▼浜松市内の17の小学校で千人を超える児童が嘔吐(おうと)や下痢の症状を訴え欠席し、学校閉鎖が相次ぐ集団食中毒が発生した。給食のパンによるノロウイルスが原因という
▼保健所は、パンが焼き上がってから学校へ配達される間にウイルスが付着したとみている。パンは大きな袋にまとめて入れられていたため、感染者が触れたものから別のパンへ一気に広がった可能性がある
▼厚生労働省のホームページには、食品取扱者へとして「下痢などの症状が改善してもしばらくは作業をしない」「食品に触れる際は使い捨ての手袋を着用する」「客用と従業員用のトイレを分ける」などの注意事項がある。今回はどうだったのか
▼医者も食べ物を扱う業者も、人の命に関わる仕事をしている。だからこそ、自らが感染源になることは絶対に避けなければならない。(森田美奈子)