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【読書】沖縄タイムス社編『沖縄県知事 翁長雄志の「言葉」』 県民を奮い立たせた語録

2018年12月19日 21:00

 本書は、元沖縄県知事翁長雄志氏の知事選出馬から逝去までの4年間の発言録である。

沖縄タイムス社・1080円

 激動の沖縄戦後史には、それにふさわしい偉大な政治家が何人も登場し、その人となりや政治姿勢を示す言葉を残してきた。翁長氏もまた印象深い言葉を駆使し、わかりやすい表現で、理念を簡潔に説いた。それらは県民の心の琴線にふれ、人々を奮い立たせ、新時代を創った。安保と自衛隊を対立軸とした保守対革新から、辺野古新基地を軸とした政府対沖縄に塗り替えたのである。

 そのもっとも象徴的な言葉が1期目の知事選で掲げた「イデオロギーよりアイデンティティー」だ。沖縄が保革で相争えばそれを見てほくそ笑んでいるのは誰かを問い、選挙を勝利に導いたのである。ただ、この言葉は本書では正面からは収録されていないのが、私的には残念であった。

 本書は、発言が古い順の133の語録であり、一つ一つに簡単な解説がつけられ、通して読むと翁長知事が生きた時代がよみがえり、彼の主張の全貌が分かるようになっている。

 いくつか確認しよう。

 沖縄口を使い県民を鼓舞したのが、「ウチナーンチュ、ウシェーティナイビランドー」「なまからるやんどー、なまからるやんどー」、「ヌチカジリ、チバラナーヤーサイ」
 構造的差別に触れたのが、「『日本を取り戻す』という中に沖縄は入っているんですか」、「他の都道府県では知事や市長が反対しただけで引いてしまう」、「政府は沖縄県民を日本国民として見ていない」

 自治の主張が、「沖縄以外の都道府県で、日米両政府という権力と戦ってきたところがありますか」、「沖縄の人々の自己決定権や人権はないがしろにされている」

 安全保障観が、「辺野古新基地建設については(中略)アジアの緊張緩和の流れにも逆行している」、「日米の安全保障体制は沖縄という砂上の楼閣に乗っている」

 巻末に8人のタイムス記者のエッセーが付録となっている。新聞紙面には出なかった翁長氏の人となりを示すエピソードや秘話が掲載されているが、これも興味深い。(仲地博・沖縄大学学長)

 

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沖縄県知事 翁長雄志の「言葉」

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