沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究チームはこのほど、うつ病患者の脳活動や臨床データを解析しタイプ分けした結果、小児期にトラウマ体験を持つ人は一般的に処方される抗うつ剤の効果が低い傾向があることを明らかにした。同チームによると統計学の手法を用いたうつ病のタイプ分けは世界的にほとんど例が無く、研究は今後、患者のタイプに応じた治療に役立てられることが期待される。

うつ病3タイプのイメージ

 研究は銅谷賢治博士(計算神経科学)と徳田智磯氏(データサイエンス)らが、広島大学精神科の山脇成人教授のグループと共同で進めてきた。

 うつ病患者と健常者各67人(計134人)を、脳の活動のMRIデータ、血液検査、睡眠パターン、ストレス具合の問診、トラウマ体験の有無などから五つのタイプに分別。うつ病患者はそのうち三つのタイプに属し、その中の一つは抗うつ剤(SSRI)を6週間投与した後も十分な改善がみられなかった。同タイプには小児期のストレス経験を持つ患者が多かった。

 研究は2011年から始め、7年越しに結実した。銅谷博士は「うつ病の原因は未解明で、一般的な抗うつ剤が効かない患者もいるが、今回の研究でその理由の一端が分かった。うつ病のタイプに応じて効果的な治療法を選択できる」と話す。

 研究チームは今後、より幅広く被験者データを収集し、信頼度の高いタイプ分けの手法を確立したい考え。

 同研究は9月、科学誌「サイエンティフィック・レポーツ」に掲載された。