生態系や農作物に被害を及ぼす恐れがある特定外来生物「ツルヒヨドリ」が沖縄県内で生息範囲を拡大している。1984年に国内で初めてうるま市の天願川で見つかって以来、南北に分布域を広げ、今年11月には新たに大宜味村塩屋湾付近でも見つかった。環境省や県は、世界自然遺産の推薦地やんばる地域などへの侵略を食い止めようと除去活動に力を入れる。(社会部・松田麗香)

特定外来生物のツルヒヨドリ(環境省提供)

ツルヒヨドリが確認されている場所

特定外来生物のツルヒヨドリ(環境省提供) ツルヒヨドリが確認されている場所

 ツルヒヨドリは南北アメリカが原産地のつる性植物。繁殖力が高く、世界の侵略的外来生物ワースト100にも上げられている。つるを絡ませながら他の植物を覆い広がるため、下に生育する植物は枯れてしまう。

 県内への侵入経緯は分かっていない。うるま市のほか、現在までに沖縄市から嘉手納町にかけての比謝川流域や、南は南城市、北は国頭村でも確認された。

 県は11月、環境省と協力し、大宜味村田嘉里地区で開花前の除去を実施。地元の高校生や企業などに呼び掛け、ボランティア160人による手作業の除去作業に取り組んだ。

 手作業での除去は、除草剤を使うと他の植物を枯らしてしまう恐れがある上、草刈り機では刈った茎が巻き散らかされ、それが根付いてさらに繁殖するため。県の担当者は「もしやんばるで拡大すれば、固有種や希少種に多大な被害を及ぼす危険性がある」と危機感を募らせる。

 一方、素早い対策で成果が見えた地域もある。やんばる野生生物保護センターによると、昨年ツルヒヨドリが見つかった漫湖水鳥・湿地センター敷地内では発見後すぐに除去した結果、現在生息は確認されていない。大宜味村田嘉里地区でも定期的な防除作業で、生息範囲の拡大を防ぐことができているという。

 野生生物保護センターは「見慣れないつる性の植物を見つけたらツルヒヨドリではないか疑ってみてほしい。種がある場合は、飛散や服への付着に注意して根から丁寧に引き抜き、燃えるごみに出すなど焼却処分して」と呼び掛けた。

 [ことば]ツルヒヨドリ キク科のつる性植物。縁がぎざぎざでハート形の葉が特徴。1日に約10センチもつるを伸ばし猛烈ないきおいで生息範囲を広げる。開花は11~12月ごろ。1月には綿毛で種を飛ばし繁殖するため、開花前に除去するのが有効。