沖縄県は男女ともにアルコールの多量摂取や肥満が要因となる「肝疾患」の死亡率が全国で最も高い。2017年8月には、肝疾患による死亡率が沖縄は全国最悪、男性では通常の飲酒量が全国の2倍に上り、アルコールに起因する発症が多い-との厚生労働省の調査結果が報道されました。「過度な飲酒は控えましょう」とか「節酒しましょう」と言えばそれまでの話ですが、この現状を、「俺の言うことを聞いてくれ」と憂いている沖縄の先人を紹介します。

イラスト・いらすとや

 その先人は大城幸之一先生です。現南城市玉城の奥武島で1879年に生まれ、厳しい農作業の合間をみては懐から書物を取り出して勉強、夜は遅くまで「トゥブシ」と称される脂分を含んだ松の木片や「サバアンダ」と称する魚の肝油(フカの油)をともして勉学に励んで医者になりました。先生は、医師として政治家として、活躍して、54歳で生涯を閉じました。今に残る医学的業績として、「医学上より見たる酒害」を残されました。

 先生は、コレラ病は発生すると、「消毒だ、隔離だ」と、その防遏(ぼうあつ)に努めるのに、酒害に対しては、「お金を喜捨してその蔓延(まんえん)に努めている」と嘆きました。飲酒家を5ランクに分類し、第一級飲酒家は、周囲からの強制によって飲酒する者、第二級飲酒家は、他動的に強制的に飲酒する者、第三級飲酒家は、次第に自発的に酒を飲酒する者、第四級飲酒家は、中毒作用によりほとんど毎夕あるいは間欠的に飲酒を常用する者、第五級飲酒家は、慢性アルコール中毒者、と分類しました。

 酒害の防遏には、断酒、禁酒、未酒を挙げました。さらに、他の人に酒を強制しない、酒を勧めない「謹酒」を薦めています。反対に、酒を注いで飲酒を勧めるのは、「アルコール依存症になることを強要することと同じだ」と述べています。肝疾患死亡率沖縄最悪の現状をみるとき、お酒を勧めない、強制しない、先生が薦めた「謹酒」をしましょうと筆を執りました。(小山信二 南城つはこクリニック)