沖縄タイムス社は2018年の沖縄県内十大ニュースを選定した。

 膵臓(すいぞう)がんの治療中だった翁長雄志知事が8月8日、亡くなった。67歳。名護市辺野古の新基地建設反対を貫き、県内外で沖縄の民意を訴え続けた。早すぎる死に多くの県民から追悼の声が寄せられた。

 翁長氏の急逝に伴う県知事選は9月30日に投開票され、翁長氏の後継候補で「オール沖縄」勢力が推した前衆院議員の玉城デニー氏(59)が初めて当選した。

 辺野古新基地を巡り、沖縄防衛局は12月14日、埋め立て土砂の投入を強行、強い反発が広がった。

 県出身の人気歌手、安室奈美恵さん(41)が9月16日、引退した。「平成の歌姫」の四半世紀の活動をねぎらい、多くのファンが惜しんだ。

 プロ野球西武ライオンズの山川穂高内野手(27)がパ・リーグの本塁打王を獲得、リーグ最優秀選手(MVP)にも選ばれた。

1 翁長雄志知事が死去

約3千人が参列した翁長雄志前知事の県民葬=10月9日午後2時すぎ、那覇市・県立武道館

 膵臓(すいぞう)がんと闘いながら、名護市辺野古の新基地建設反対を貫いた翁長雄志知事が8月8日、亡くなった。67歳。現職の知事が任期中に亡くなるのは初めて。那覇市議、県議、那覇市長を歴任した翁長氏を悼み、同13日の告別式には4500人以上、10月9日の県民葬には3千人以上が訪れた。

 4月上旬の検査で膵臓に腫瘍が見つかり、同21日に手術を受けた。5月15日に公務復帰し、県議会6月定例会では代表、一般質問の全てに出席した。6月23日の沖縄全戦没者追悼式ではやせ細り、頭髪をそり上げた姿で平和宣言を読み上げ、「辺野古に新基地を造らせない私の決意は県民とともにあり、みじんも揺らぐことはない」と訴えた。

 7月27日には辺野古新基地建設阻止に向けた県の最後のカードといわれる「埋め立て承認撤回」に踏み切ると表明。その3日後の同30日に再入院した。がんが肝臓に転移し、肝臓や腎臓の機能が低下したという。

 翁長氏の遺志を継いだ謝花喜一郎、富川盛武の両副知事が手続きを進め、8月31日、次の知事の就任を待たずに、埋め立て承認を撤回した。

 翁長氏はしまくとぅばの普及にも取り組み、記者会見などでの最初の一言は「ハイサイ、グスーヨー、チューウガナビラ」と決まっていた。

2 辺野古埋め立て 土砂投入

埋め立て区域に土砂を投入するダンプカー=12月14日午後3時25分、名護市辺野古(小型無人機で撮影)

 沖縄防衛局は12月14日午前11時、名護市辺野古の新基地建設のための埋め立て土砂を初めて海域の一部に投入した。県は今年8月に埋め立て承認を撤回したが、沖縄防衛局は私人の利益を救済する行政不服審査法を根拠に国土交通相に執行停止を申し立て、認められたことで土砂を投入した。

 県は総務省の第三者組織「国地方係争処理委員会」に執行停止の取り消しを申し立て、来年2月には埋め立ての賛否を問う県民投票が予定されるなど辺野古問題は新たな局面に入った。

 1996年に日米両政府が米軍普天間飛行場返還を合意してから22年を経て、初めて土砂が投入された。辺野古問題を最大の争点に9月の知事選で玉城デニー知事が政府が全面支援した相手候補に大差をつけて当選するなど、「辺野古反対」を示してきた民意に向き合わない姿勢に反発が広がる。

 米ホワイトハウスの請願サイトでは来年2月の県民投票までの埋め立て停止を求める電子署名が10万筆を超えた。10万筆に達した請願はホワイトハウスが対応を検討する対象となる。

 土砂が投入された区域は約6・3ヘクタールで埋め立て全体の4%。玉城知事が「埋め立ては一部にすぎない」と指摘するように建設阻止はまだ間に合う状態にある。

3 玉城デニー氏が新知事に

当選確実の報道を受け、支持者とカチャーシーで喜ぶ玉城デニー氏(中央)=9月30日午後9時35分、那覇市古島・教育福祉会館(金城健太撮影)

 翁長雄志前知事の急逝に伴い9月30日に実施された県知事選で、無所属新人で「オール沖縄」勢力が推す前衆院議員の玉城デニー氏(59)が過去最多となる39万6632票を獲得し、初当選を果たした

 玉城氏は8月に急逝した翁長氏の後継候補として名護市辺野古の新基地建設阻止や自立型経済の発展などを訴え、政府、与党が全面支援した前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)=自民、公明、維新、希望推薦=を8万174票の大差で破った。

 翁長氏の死去後、「オール沖縄」勢力内で後継候補の人選が課題となったが、死去10日後に、玉城氏を後継指名した翁長氏の音声データの存在が判明。玉城氏は翁長氏の遺志を受け継いで立候補し、無党派層や女性票のほか、自民、公明の一部も取り込み、佐喜真氏に大勝した。

 本紙などの世論調査で知事選で最も重視する課題に「基地問題」が挙げられ、県民は改めて新基地建設に反対の意思を示した。ただ、政府は工事を強行し、玉城氏は安倍晋三首相らに繰り返し対話での解決を求めている。

4 安室さん引退 惜しむファン

安室奈美恵さんのラッピングトラックの前で盛り上がる大勢のファン=9月16日、宜野湾海浜公園

 県出身の人気歌手、安室奈美恵さん(41)が9月16日に引退した。1992年のデビューから四半世紀余の活動をねぎらい、新たな門出を応援する花火大会が同日、宜野湾市で開かれ、全国から3万人のファンが訪れて名残を惜しんだ。 

 15日の前夜祭に出演した安室さんは「Hope」など8曲を熱唱し、故郷で有終の美を飾った。

 独自のファッションをまねた「アムラー」と呼ばれる支持者も現れ「平成の歌姫」と称された安室さん。2017年9月に引退を表明し、「私らしく2018年9月16日を迎えたい」との思いを伝えていた。

 5月23日には県民栄誉賞が贈られ、翁長雄志知事から表彰状と記念品を手渡された安室さんは「名誉ある賞をいただき、とてもうれしく思っています」と声を詰まらせた。

 8月から引退の9月16日まで、安室さんの軌跡をたどる展示会「namie amuro Final Space」が沖縄市のプラザハウスショッピングセンターで開かれた。

5 台風が連続襲来 停電で生活打撃

台風25号による大雨で排水が追い付かず、水没した車=10月5日、沖縄市登川

 9月末から10月初めにかけて、大型で強い台風24号と25号が連続して沖縄地方を襲い、県民生活に大きな爪痕を残した。

 24号によって本島地方は暴風域に丸1日入り、最大25万世帯が停電した。わずか5日後には25号も最接近。1カ月たっても固定電話やインターネットの通信障害が数千件残るなど、復旧作業は大幅に遅れた。

 離島では、野菜などの生鮮食品が品薄に。宿泊キャンセルや農産物被害で経済も大きなダメージを受けた。台風は12月20日までに29個発生、平年値25・6個を上回った。

 少雨傾向も顕著で、6月には県内11ダムの合計貯水率が過去10年間で最低の44・7%を記録し、平年値を約30ポイントも下回った。座間味村では2週間、夜間断水が実施された。

 その後、台風6号などで徐々に回復し、7月には合計貯水率が今年初めて平年を超えた。