遺体管理学やグリーフケアを学ぶ

 人の遺体を火葬まできれいに保つ「遺体管理師」として県内で活躍する女性がいる。嘉陽果林さん(35)は、医療技術も踏まえた遺体管理学を学んで技術を磨き、遺族の悲しみを癒やす「グリーフケア」の資格も取得。昨年12月に遺体管理専門の「おもかげ」を設立し、代表に就任した。遺族が故人との最期の別れを心置きなく遂げられるよう、独自技術を使った新たなサービスを提案している。

独自の遺体管理技術で新たなサービスを展開する嘉陽代表=沖縄タイムス社

 人の死に方はそれぞれで、けがによる体の損壊や、病気で痩せたり、黄疸(おうだん)などで顔色が変わっていたりして、「遺族ですら怖がることが多い」という。

 納棺師として専門会社に勤めていたが、死に化粧やドライアイスだけでなく、医学的な死後処置で生前のような顔立ちに戻すなどの管理技術を施し、遺体を長くきれいに保つべきだと考えるようになった。退職して、県外で開催される講習に通い、遺体管理学やグリーフケアを学んだ。

 死後に重力によって血液が遺体下部にたまる「血液就下(しゅうか)」現象を踏まえて顔のシミの薄れ具合を計算して見栄えを良くしたり、エタノールやホルマリンなどを配合した薬液の注入で顔をふくよかにし、長期間保管したりする技術を独自で考案。エアーブラシも使い、内出血を着色して隠すのに役立てている。

 遺体は乾燥していくため、火葬までの期間は毎朝、化粧を落とし、顔や手を丁寧にオイルマッサージする。遺族にやってもらうこともあり「故人と向き合い、共に過ごした思い出をかみしめることができる。グリーフケアの一環にもなっている」と話す。

 嘉陽代表は「故人のために死に化粧や祭壇を華やかにするのも大切だが、生前と変わらぬ姿でいることで遺族や参列者も心置きなく最後の別れを遂げられる」と説く。

 おもかげ設立後は1カ月あたり約50件の遺体を管理。「手間を惜しまない作業が信頼されている」と想定以上の需要を実感している。看護師を対象にした遺体管理技術のセミナーも開いており、「管理技術を広め、前向きに故人を送り出せる葬儀を増やしていきたい」と話した。

 遺体管理師 特定の資格があるわけではないが、主に科学的に遺体を管理保全する人たちに用いられる。法律上では、遺体を毀損(きそん)する目的を持った行為は「死体損壊罪」にあたるが、保存や修復などを目的にする場合は適用外と考えられている。民間団体が認定する「遺体感染管理士」「遺体美粧師」といった資格もある。