国の特別天然記念物カンムリワシの交通事故死が急増し、今年13件と過去最多になった。沖縄県の石垣市内では今月だけで3件相次いで発生し、記録が残る2010年以降で最多の8件。竹富町西表島は昨年ゼロだったが、10月の5件目で最多だった13年に並んだ。環境省石垣自然保護官事務所は27日、「秋から春にかけては事故が多発する時期」と事故防止へ注意を呼び掛けた。

昨年12月保護され、今年1月の放鳥時に元気な姿を見せていた若鳥「アルタ」=1月16日、石垣市名蔵(環境省石垣自然保護官事務所)

 環境省によると、カンムリワシは国内で石垣島と西表島だけに生息する絶滅危惧種で、推定個体数は約200羽(11年度調査)。秋から春は幼鳥が親元を離れる独立期や成鳥の交尾・巣作り時期を迎え、道路沿いへの出現頻度が高まるという。

 事故はカンムリワシが車にひかれた小動物など餌を求めて路上に降りた際に起きるケースが多いという。けがを含む事故は今年、全体で15件発生。石垣島は前年比1件増の9件とほぼ横ばいで、西表島は同5件増の6件と急増した。

 事故死は石垣島で16年から増加傾向にあり、今月は25日午前9時と午後3時すぎに市伊土名と市名蔵の県道で立て続けに発生。市名蔵の1羽は昨年12月に保護されて今年1月に放鳥された若鳥「アルタ」だった。11日午前9時には市宮良の県道で成鳥が救護されたが死んだ。

 西表島では14年以降0~2件で推移していたが、今年に入り急増。3月の1件を除き、全て東部地域で発生した。世界自然遺産登録に向けて注目を集める中、イリオモテヤマネコの交通事故も今年9件と過去最多を更新しており、関係者は危機感を募らせている。

 藤田和也上席自然保護官は即死が近年増えていることから車両の速度超過が主な要因と推測。法定速度の順守など運転時の注意を呼び掛け「万が一事故を起こしても迅速な連絡で命を救える可能性が高まる」と早期の情報提供を求めた。

 連絡先は石垣自然保護官事務所、電話0980(82)4768。西表野生生物保護センター、電話0980(85)5581。