政府は改正入管難民法に基づく外国人労働者受け入れ拡大の新制度について基本方針を閣議決定した。外国人との共生に向けた総合的対応策も関係閣僚会議で決めた。

 改正法は深刻な人手不足から高度専門職に限っていた施策を変更。特定技能1号、2号の在留資格を新設して単純労働分野にも広げるものだ。

 対象は14業種で、来年4月から5年間で最大34万5150人を受け入れる。

 基本方針では報酬額は日本人と同等以上を求めるとしているが、同一労働同一賃金の観点からみれば当然である。だが、それを担保する仕組みが示されていない。

 同一業務や業務内容に共通性がある場合は転職を認めている。最低賃金を比較すると、東京は985円で沖縄は762円。東京との開きは223円もある。

 外国人労働者が賃金や社会保障などより労働環境が整った地域を選ぶのはこれまた当然で、大都市圏に集中することは容易に想定できる。基本方針では措置を講じるとしているが、具体策の提示はない。外国人労働者が地方に定着するための施策が必要だ。

 改正入管難民法は自公などが採決を強行して成立した。本来であれば、基本方針などは国会で議論を深めるべきだったのに、数の力で強引に法を成立させたため順序が逆になったのである。

 政府は来年1月23日の衆院法務委員会の閉会中審査で、新制度の詳細を説明するとしているが、見切り発車してはならない。

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 外国人労働者の受け入れの環境整備施策をまとめたのが総合的対応策である。

 「政府全体で共生社会の実現を目指す」として126項目の施策を列挙するが、寄せ集めの印象が強い。

 人員や予算措置はこれからというものが多く、具体性に欠けるのである。

 総合的対応策の柱の一つが都道府県など全国100カ所に一元的窓口となるワンストップセンターの設置である。

 在留手続き、医療、福祉、教育などの相談に応じ、所管する役所などに橋渡しをするという。行政サービスでは多言語化を推進する。

 センターは自治体の委託を受けたNPO法人などが運営するイメージを描くというが、人材の確保を含め自治体に「丸投げ」するようなことがあってはならない。

 送り先となる9カ国のブローカーを排除するために政府間文書の作成を目指すとしているが、これも現地での実効性は不透明だ。

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 県内では観光客が伸び、ホテル建設ラッシュが続くなど経済が好調だ。それに伴い、宿泊業界の人手不足が深刻になっている。宿泊業界からは歓迎の声が上がる。

 県内にいる外国人技能実習生は17年10月末時点で、926人。沖縄労働局の同年の立ち入り調査で、技能実習生が働く19事業所のうち18事業所が労働時間や賃金が適正でないなど労働関係法令違反が指摘された。監督指導を受けたことを事業所は重く受け止めなければならない。県内の労働環境の改善は急務である。