ハンセン病回復者が生活する名護市の国立療養所沖縄愛楽園で、ともに園で働く介護福祉士の宮城雅人さん(32)と看護師の春菜さん(30)の結婚披露宴があった(1月30日付)。国の強制隔離政策で家族から引き離され、冠婚葬祭に縁遠くなっていた入所者に実際の披露宴を楽しんでもらおうと、園職員が手作りで開いた。

共に沖縄愛楽園職員の(右から)宮城春菜さんと雅人さん。2人の長女菜ノ花ちゃんの登場に、仲村苗子さん(左)ら入所者は大喜びだった=27日、名護市・沖縄愛楽園(下地広也撮影)

 「おかげさまで、ウーマクーに育っていますよ」。あれから11カ月がたった12月27日。会場となった愛楽園内の第1センターに宮城さん夫妻の姿があった。育休中で久しぶりに職場を訪れた春菜さんの両腕には、生後7カ月の菜ノ花ちゃんが抱かれていた。

 センターで暮らすのは、介護度が重い90代前後の高齢者たち。小さなヒロインが登場すると、瞬く間に人だかりができ「雅人似かな。色白でかわいいさ」「人見知りしない、お利口さんだね」と笑顔の花が咲いた。

 入所者最高齢で105歳の仲村苗子さんは、前日に子どもをイメージし、枕を抱いて練習した念の入れよう。菜ノ花ちゃんをひざに乗せると、大きく口を開けてあやし、ほっぺにキスをした。

 那覇市出身。25歳のころ愛楽園に入所した仲村さんの療養所生活は、鹿児島県の星塚敬愛園を合わせると80年に及ぶ。同じ入所者の外間安勝さん(83)は「苗子さんも105歳まで生きてきたかいがあった。みんな子どもから元気をもらったね。来年もいい年になりますように」と話した。

 宮城さん夫妻は、菜ノ花ちゃんの誕生を家族のように祝福してくれる姿に胸が熱くなった。「菜ノ花に物心が付いたら、ここで結婚式を開いたことを伝えたい。この子にとっても、入所者さんが自慢の存在になればうれしい」(社会部・新垣綾子)