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「観光客を狙え」危機が生んだ“名物” 沖縄を代表する人気スポットに

2019年6月11日 05:35

[公設市場物語]歴史編(下)

 火災焼失後、1972年に新たなスタートを切った第一牧志公設市場。日本復帰後は県外資本の参入や観光客の増加が進み、同市場や中心商店街も変化に合わせて対応していく。県外からの相次ぐ大型店舗進出で地元客が減少する一方、増える観光客の取り込みに力を入れ、近年、沖縄を代表する観光スポットへと成長した。

建て替えのため2019年6月16日で営業を終える第一牧志公設市場の現施設

(写図説明)火災焼失後、新しくオープンした第一牧志公設市場内=1972年10月3日

(写図説明)第一牧志公設市場の開設式典

(写図説明)牧志公設市場などの主な歴史(1972年〜)

建て替えのため2019年6月16日で営業を終える第一牧志公設市場の現施設 (写図説明)火災焼失後、新しくオープンした第一牧志公設市場内=1972年10月3日
(写図説明)第一牧志公設市場の開設式典
(写図説明)牧志公設市場などの主な歴史(1972年〜)

■時代の変化

 75年、本土大手スーパーのダイエー那覇店(ダイナハ)が沖映通りに出店。この時期、那覇市内では150店以上のスーパーマーケットが営業を始めた。減少する地元客を取り戻そうと、市場本通りは78年、平和通りは82年にアーケードを整備し、近代化と利便性向上に取り組んだ。

 一方、公設市場は80年代半ばから、観光資源としての可能性の模索を始める。当時、ホテルや観光施設が本島中北部に集中する中、那覇市は観光の目玉がなく素通りされることが悩みの種だった。

 そんな中、同市場は90年ごろ、店舗で購入した食材を市場2階の食堂で調理して食べることができる「持ち上げ制度」を導入した。市場鮮魚組合の組合長だった津波古政和さん(66)は「制度の導入に、関係者は当初から賛成していた。けれど定着には4〜5年かかった」と振り返る。

■観光スポットに

 制度を客に知ってもらうため、飛行機の情報誌に紹介してもらったり、メディアの取材を積極的に受けて認知度アップに取り組んだ。津波古さんは「観光客をターゲットに定め、何とか呼び込もうと必死だった。インターネットもまだそれほど普及しておらず、情報発信が難しく時間がかかった」と苦労を語る。

 93年には精肉、鮮魚、生鮮、2階業者と市場内に四つあった組合が「第一牧志公設市場組合」へと統合されたことをきっかけに、イベントの開催など市場の組織的な取り組みをさらに強化。このころには持ち上げ制度で人気の伊勢エビの水槽が各店舗に並び始めるなど、客の好みに合わせ品ぞろえも変化していった。

 同年、首里城公園の一般公開が始まったこともあり那覇市を訪れる観光客は徐々に増加。公設市場は市内観光ルートの一つとして定着し始めた。

 市場組合のこうした取り組みが認められ、95年は県から、2000年には那覇市から観光功労賞を受賞した。

■再スタート

 一方、老朽化が進む現施設は16年に現地での建て替えが決定。7月から仮設市場での営業が始まる。新たな場所での再スタートに「今の市場の雰囲気がなくなるのでは」と不安がる業者も少なくない。

 津波古さんは市場内で営業していた鮮魚店を05年に閉め、現在は持ち上げ制度を担う市場2階に食堂「さくら亭」を開く。

 「客の流れが変わる不安はある」としつつも「地元の常連客や10年以上も毎年訪れてくれる県外からの客もいる。まずは頑張りたい」と培ってきた客とのつながりに自信を見せた。

>>[公設市場物語]歴史編(上)に戻る

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