[新うちなーんちゅの肖像]石垣第二中2年 岡部壮良(そら)さん(14)

 「この世はすべて物理学で証明できるんじゃないですか。生物が誕生する条件や育つ環境、地球の成り立ちも、どんなものでも土台に物理学があるんです」

岡部壮良さん

モデルロケットの打ち上げで訪れた母校の八島小学校で父・厚志さん(右)と笑顔を見せる岡部壮良さん。「ここが一番長くいたし。島を離れても原点になりそう」=石垣市立八島小学校

岡部壮良さん モデルロケットの打ち上げで訪れた母校の八島小学校で父・厚志さん(右)と笑顔を見せる岡部壮良さん。「ここが一番長くいたし。島を離れても原点になりそう」=石垣市立八島小学校

 持論を熱く語るのは、石垣第二中学2年の岡部壮良さん(14)。小さな南の島から果てなき宇宙を夢見てロケット研究に打ち込む少年だ。

 6歳のころ、小惑星探査機「はやぶさ」の帰還をテレビで見た。エンジン停止や通信途絶など数々の危機を乗り越えミッションを成功したと後に知り、日本の宇宙開発技術に衝撃を受けた。夢は膨らみ、その年の七夕の短冊にこう書いた。

 「たんさきはやぶさをつくるひとになりたい」

 北海道稚内市出身の父厚志さん(50)と石垣市出身の母明子さん(52)のもと石垣島で生まれ育った。幼少時から好奇心旺盛で、国立科学博物館に行けば閉館までくまなく見学。興味関心は一分野にとどまらず「誰もやったことないことをしてみたい」との思いも強い。

 小学1年の時から実用数学技能検定(数検)に挑み、5年で中学3年レベル相当の3級まで取得。自由研究では小学3年で振り子の性質、4年で滑車、5年は圧力、6年は電気と磁気をテーマに研究した。どれもロケット研究に必要と考えた基礎物理学だ。

 研究は中学から本格化。火薬を扱うために必要なモデルロケット第3級ライセンスに加え、第3級アマチュア無線技士の資格を取得。蓄えた知識で重心位置やフィンの形状を変えて発射実験と分析を繰り返し、機体のぶれや高度などのデータから飛行の最適条件を導きだしている。

 2018年には国立研究開発法人科学技術振興機構の「ジュニアドクター育成塾」で全国の選抜受講生の中から大賞と工学系分野賞の2冠に輝き、「物理学者になるという夢を自信を持って言えるようになった」。

 思い描く将来は「自分で実験して証明、実用化までもっていく。そんな物理学者になって宇宙開発、ロケット関係に貢献する人」。語る瞳の奥は、沖縄から世界、宇宙へ羽ばたく無限の可能性に満ちていた。(八重山支局・新垣玲央)

[うちなーんちゅと感じるとき]夜空を見上げた時

 石垣、沖縄で良かったと思うのは夜空を見上げた時かなぁ。本土では星一つも見えない時があったし、日本標準時子午線が通る明石市立天文科学館で石垣から来たと言うと「あの憧れの島か」って喜ばれました。星を見る人にとってすごく恵まれた場所でしょうね。

 自然や生物関係も恵まれていますが、物理学の話でいくと、ロケットの打ち上げは赤道に近い方がいいと聞きます。地球の遠心力が強いので少ない火力で済むそうです。沖縄は他県より条件が良いし、発射台が来たらなって思う。宇宙工学が盛んになれば物理への関心も高まるはずですしね。