社説

社説[沖縄振興体制]功罪含め総合的検証を

2019年1月5日 10:02

 沖縄振興特別措置法に基づいて県が策定した沖縄振興計画「沖縄21世紀ビジョン基本計画」は、2022年3月末で期限切れを迎える。

 22年は復帰50年の節目の年だ。

 半世紀にわたる取り組みの検証が急務である。同時に現行計画終了後、次の計画をどう進めていくのか。有識者だけでなく、広く一般県民の声を聞きながら、沖縄の自主性が尊重される仕組みを大胆に構築してもらいたい。

 復帰後、1972年に始まった1次振計は、沖縄戦による甚大な被害と米軍統治という苦難の歴史をたどった県民に対する「特段の配慮」が出発点だった。

 本土との格差を是正するため、政府は沖縄開発庁(現内閣府沖縄担当部局)を設置し、各省庁にまたがる予算を一括計上する独特の方式をとってきた。

 10年ごと4次にわたる振計は、いずれも国主導で決定された。県が策定し、国が支援する仕組みへと代わったのは5次振計にあたる21世紀ビジョン基本計画からである。従来の補助金に比べ使い道の自由度が高い一括交付金制度が導入されたことも現行計画の特徴だ。

 社会資本の整備などで振計が果たした役割は大きい。だが「箱物」中心の振興と生活者目線を欠いた計画が、子どもの貧困などを放置してきた側面が指摘されている。

 特に安倍政権以降、顕著になってきた政府の恣意的な財政運営が沖縄振興をゆがめている事実は見逃すことができない。

    ■    ■

 内閣府沖縄関係予算の推移を見ると、新基地に反対する翁長雄志知事誕生以前と以降で違いがくっきりしている。中でも目立つのが鳴り物入りでスタートした一括交付金の落ち込みだ。

 故翁長氏が知事に就任した直後の2015年度予算編成で、新基地建設を「踏み絵」にした政府の嫌がらせは記憶に新しい。

 昨年末に決まった19年度予算案は総額3010億円。そのうち一括交付金は1093億円で、創設以来最も少ない額となった。減額の理由とされる執行率の改善が進んでいるというのに、減額が止まらないのは「政治的意図」があってのことだろう。

 沖縄振興の根拠は歴史的、地理的、自然的、社会的な特殊事情にあり、そのための予算は基地と連動するものではない。にもかかわらず米軍再編交付金のような性格を帯びてきたのは、沖縄振興体制の変質を示すものである。

    ■    ■

 県は期限切れ後の振興のあり方を議論するため、来年度、外部の有識者による検討会議を発足させる。

 残された時間はそう多くないが、この機会に振計が果たした役割や効果を功罪含め徹底的に議論すべきである。一括計上方式や高率補助についても例外とすることなく、問題点を洗い出した方がいい。沖縄関係予算が「基地維持装置」としての役割を強めていることについての検証も進めるべきだ。

 沖縄の未来を左右する大事な議論である。

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