沖縄こどもの国の人気者、インドゾウの琉花ちゃんのおなかに赤ちゃんができた。新たな命は推定約4キロ、まだ猫くらいの大きさという。来春の出産が待ち遠しい
▼琉花ちゃんは13歳、お相手の琉人君は11歳。「7年前に来た時には2頭とも私たちとどっこいどっこいの背丈だったのに」と職員は喜ぶ。今は体重2~3トン、人間でいえば20歳前の仲良しカップルだ
▼動物園のゾウは数が限られている上、雄雌の相性が合わないことも多く、国内で妊娠・出産が成功したのは数えるほど。琉花ちゃんの妊娠が確認された日、来園当初から家族のように付き合ってきた飼育員は、巨体にしがみついて泣いたそうだ
▼エコー検査の画像に目を凝らすと、確かに背骨や頭らしきものが見える。小さいけれど、生きている。人間の場合と同じだなと、妻の妊娠を思い出してうれしくなった
▼同園は近年、「教育の場」としての魅力向上に力を入れている。飼育員の説明は分かりやすく、生き物教室や夜の観察会は大人から子どもまで好奇心を刺激する
▼もともと大きいので分かりにくいが、琉花ちゃんのおなかは少しずつふっくらし始めたらしい。赤ちゃんもきっと無事に生まれ、両親そっくりに成長していくに違いない。子どもたちが命を学ぶ場として、またとない機会になる。(鈴木実)