ザルにいくら水を注いでも、編み目からこぼれるばかりで、水は一向にたまらない。ザル経済とは、そのような経済状態のことをさす。

 政府の公共事業がどんなに多額であっても、投じられたお金が地元に浸透せず、本土企業を通して域外に逆流すれば、公共投資の波及効果は小さくなる。

 沖縄防衛局が2013年度から17年度までの5年間に発注し契約した公共事業の額は合わせて2513億9717万円で、このうち県外企業が53%、県内企業が47%を受注していたことが分かった(6日付本紙1、2面)。

 年度によって契約額にばらつきがあり、県内企業が県外企業を上回ったこともあるが、5年間の合計額をみると、県外の大手ゼネコンを通した「本土還流」の構図が浮かび上がる。

 国発注工事の入札制度は、過去の受注実績でランク付けされている。零細企業が多く資本力や技術力の乏しい沖縄の企業はもともと不利だ。県内の建設業者は、本土企業とJV(共同企業体)を組んで工事を受注することが多い。

 ザル経済は、公共事業に限らず、観光などにも見られる現象だ。八重山などでは観光で稼いだ金の島外流出が問題になっている。

 大型公共工事の本土還流現象も、基地関連工事だけに限らない。だが、基地関連工事の本土還流現象には、他とは異なる側面がある。

 大ざっぱな特徴を言えば、「負担は沖縄に、経済的利益は県外に」という倒錯した構図が見られるのである。

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 日本の対米貿易黒字が膨らみ、日米貿易摩擦が激しくなった1980年代、米議会サイドから「安保ただ乗り論」が浮上したことがある。

 米ソ冷戦が終わると、今度は米国内から「冷戦の勝者は日本だ」という怨嗟(えんさ)の声が広がった。この時期、沖縄側から上がったのは「日本本土は二重のただ乗りをしている」との指摘だった。

 米国依存の「安保ただ乗り」に加え、基地を沖縄に置くことによって安全保障の利益だけを享受している、という意味である。

 沖縄ではそのころ、米兵による事件事故や演習による被害が絶えなかった。

 本土還流システムを維持しつつ、その一方で、新基地建設に反対する沖縄県に対しては、容赦なく一括交付金を削る。露骨な報復行政は、沖縄が戦後ずっと基地の重荷を背負い続けてきただけに、歴史に対する無知としか言いようがない。

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 防衛局が埋め立て承認時に示した資金計画書では、事業費は2400億円だった。それが今や天井知らずの膨れ方である。

 だが、政府は代替施設が完成し、普天間飛行場を閉鎖・開放するまでにどのぐらいの予算と期間がかかるのか、一切説明しない。

 新基地建設をお金の面から総点検し、基地建設を巡るザル経済の実態にメスを入れるべきである。説明責任を果たさず問答無用の姿勢で土砂投入を強行し続けるのは専制政治と変わらない。