沖縄県名護市港で40年以上営業してきたスナック「サロンきよらか」が12月30日、設備の老朽化などを理由に閉店した。経営する崎浜清子さん(71)の飾らない人柄に引かれ、夜ごとに客が集った。41歳で離婚後、女手一つで子や孫ら7人を育て、血縁がなくても困っている子どもがいれば預かった。崎浜さんは「子どもに食べさせたい一心で続けられた。客と従業員、建物にも感謝」と感無量だった。(北部報道部・又吉嘉例)

閉店をねぎらい贈られた花を前に、客や従業員への感謝の思いを口にする崎浜清子さん=2018年12月29日、名護市港

「客と従業員に感謝」経営者の崎浜清子さん

 旧大里村出身。兵庫県の親戚の下で育ったが、名護市出身の男性との結婚と子どもの誕生を機に20代で名護に移った。当初はクラブの従業員として働いた。「人見知りしないし、私にもできるかな」と1977年、自身30歳の誕生日の10月15日に開店した。

 店の名前が決まらないまま迎えた開店日。クラブ時代の同僚からお祝いとして「きよらか」の看板と和服が届いた。「自分の『清』と一緒だ、と思った。今ではカラオケの歌詞やテレビで『清らか』という文字を見るだけでうれしい」とほほ笑む。

 大里の父親にはそば店を営んでいるとうそをついた。「酒飲みへの良くないイメージがあったから」。だが、やがて父親の耳に入った。「何でうそをつく」としかられ、しばらく疎遠になった。数年後、父親から「子どもを育てながら店をやれるとは絶対思わなかった。よく頑張ったね」とねぎらわれたという。

 40年の月日は「仕事に一本気で、長いとは感じなかった」。客の慶弔時には必ず出席し、誕生祝いや年始のあいさつは電話で直接伝えた。90年からは名護社交飲食業組合の理事を22年間務めた。

 閉店日の30日、常連客ら約40人が駆け付け、名残を惜しんだ。崎浜さんは「旅に出る感じで、とにかく寂しい。店は閉まるけど、この辺りに住んでいるのは変わらないから街で声を掛けてほしい」といつもの笑顔で話した。