大弦小弦

[大弦小弦]海上基地建設の是非が問われた1997年の名護市民投票。投票台の前で長く立ち止まったままの老夫婦がいた…

2019年1月10日 08:26

 海上基地建設の是非が問われた1997年の名護市民投票。投票台の前で長く立ち止まったままの老夫婦がいた。70代後半か、80代か。男性はつえをつき、動作が緩やかだった。女性はしばらく宙を見上げ、用紙に目を落とした。最後まで迷っている様子だった

▼短く言葉を交わし、ようやく書き込んだ2人。投票箱の前で立ち止まり、互いの1票を見せ合った。悩み抜いた末に出した答えを確かめ合うかのように

▼「この瞬間を記録したい」とカメラのシャッターを切った。小さな一人一人の切実な選択が大きな歴史を動かす現場に立ち合った気がした。戦後の米軍統治を経験し、日本のどの地域よりも民主主義を希求した沖縄では「1票の重み」は一層際立つ

▼老夫婦があの日、4択のどれを選んだかは分からない。だが自分の意思で投票所に足を運び、熟考の末に選択した多くの市民がいたのは確かだ。地域の未来を自分たちで決めるという静かな熱気があった

▼辺野古新基地建設の是非を問う県民投票は3市の市長が不参加を表明、2市が態度を保留している。市民を分断させたくないと言う市長もいるが、主権者は市民だ。大事なことを投票で決めるという民主主義の大原則を見失っていないか

▼投票したくない人には棄権の選択肢がある。投票したい人の権利を奪えるのか。再考を求めたい。(田嶋正雄)

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