県知事選は沖縄の政治で最大の決戦である。自民党のベテラン県議はかつて「国会の議席を失おうが、知事だけは死守しないといけない」と語っていた

▼野党・革新陣営は1998年に現職の大田昌秀氏が敗れて以来4連敗。県政奪還は悲願だ。前回、前々回と革新のエースとも呼ばれた伊波洋一氏、糸数慶子氏が及ばず、その危機感は強い

▼社民、共産、社大、生活の各党と県議会会派の県民ネットは16日、知事選候補を選考する委員会を立ち上げ、本格的に始動した。一部の保守も視野に中道・リベラルの枠組みの構築を目指すとしている

▼焦点の米軍普天間飛行場問題の対応は、県内移設断念とオスプレイ配備撤回を政府に求めた「建白書」が原点。基地問題で保革が対立してきた沖縄で、普天間問題に対する共通の方針を軸に保守を含めた大同団結を試みることは初めてである

▼一部の保守を取り込む戦略自体はこれまでにもあった。2006年の知事選では反自公路線が浮上した。だが、安全保障や自衛隊に対する認識など政策の違いが露呈し、人選は難航。大幅な出遅れが敗因の一つになった

▼候補者との基本政策の調整など実際の擁立までには紆余(うよ)曲折も予想される。「政治はアート」という言葉がある。芸術的といえる政治的技量が野党に求められている。(与那原良彦)