米軍嘉手納基地内のため池やスプリンクラーから2014~17年、残留性汚染物質のPFOS(ピーホス)が、生涯にわたって摂取した場合に健康への影響が心配される「生涯健康勧告値」の最大1億倍以上検出されていたことが、米軍内部文書で明らかになった。

 県が同基地周辺の河川で昨年実施した水質調査でも勧告値の数倍から数十倍の濃度が検出されており、基地内のPFOSが基地外へ漏れ出ている危険性が高い。

 米国の情報公開制度を使い本紙が入手した情報によると、PFOSは東京の横田基地や、普天間飛行場でも勧告値よりはるかに高濃度で検出されている。在日米軍基地による広範囲な環境汚染が懸念される状況だ。

 米軍はこの件に関して、県の面会要請や基地内調査を拒んでいるが、到底納得できない。

 PFOSは1940年代に米国で開発された界面活性剤で、耐熱性に優れていることから消火器などの泡消火剤成分として広く使用されてきた。しかし、ほとんど分解されず人体や自然界に蓄積する毒性があることなどから2009年、PCB(ポリ塩化ビフェニール)やDDTなどの残留性汚染物質を排除する「ストックホルム条約」の対象に。日本国内でも翌10年、毒性が高い「第一種特定化学物質」に指定され、大手メーカーなどは事実上の製造停止に至っている。

 ところが本紙が入手した米軍内部文書によると、米軍基地内では規制後もPFOSを含有する泡消火剤が使われている。

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 PFOSの勧告値は、米国で水1リットル当たり70ナノグラム、ドイツで同300ナノグラム。生体毒性が高いとされるPCBの勧告値が500ナノグラムであることを考えれば、PFOS汚染の深刻さがうかがえる。

 県が昨年8~9月に実施した普天間飛行場周辺の水質調査では、宜野湾市喜友名のチュンナガーなど数カ所の湧き水で、勧告値の最大数十倍にあたるPFOSなどが検出された。昨年4月には県企業局が、嘉手納基地周辺を流れる河川を水源とする北谷浄水場から47ナノグラム検出されたと公表している。

 住民生活に直結する水源や、観光地としても知られる湧き水で高濃度に検出され続けている実態は看過できない。PFOSは自然に発生することのない化学物質の一つだ。そうした物質がなぜ基地の周辺で検出されるのか、早急な原因究明が必要だ。

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 米軍基地の環境問題について河野太郎外相は昨年12月の衆院沖縄北方特別委員会で、「日本側として環境汚染を疑う場合は、既存の日米合同委員会合意に従って米側に調査要請や立ち入り許可申請などを行うことは可能」との見解を示した。

 しかし環境省が在日米軍基地に起因する環境汚染を監視する「在日米軍施設・区域環境調査」にPFOSの項目はない。安全保障政策上、在日米軍基地が必要だというなら、政府こそPFOS汚染の実態解明を急ぐべきだ。