熱に浮かされるように恋をした事のある人は多かろう。幸せな時間でもあるが、そんな時に誰かから忠告を受けても聞く耳を持たないのが常である。

チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛

 舞台は黄金時代と呼ばれた17世紀のオランダ。絵画収集と希少なチューリップへの投機がブーム。特にチューリップには一獲千金を狙う者たちが群がっていた。資産家の妻に溺れた若き画家と、その家のメイドに恋した魚売りの若者もまた例外ではなかった。

 活況を呈したオランダの街を背景に、恋に狂い愛に悩む男女の様相は芳香を放つ果実のように匂い立つ。フェルメールの絵画のような小説を映画化、と銘打った本作。美しい光を纏いながらも、危うい恋は見る者のベタな想像を裏切ってはくれないが、狂ったその先に生きる強さを見せつけられて安堵(あんど)する。(スターシアターズ・榮慶子)

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