子どもが風邪をひくと、庭先のフーチバーを摘んで黒糖を混ぜ、練り込んで食べさせた。しぼったシークヮーサーに黒糖を混ぜて飲むもよし。田んぼにいるカエルの素揚げやタニシは滋養となった

▼中部地区で生まれ育ち医療現場で長く働いた80代女性の話である。練炭の熱でタオルを蒸し、あばら骨の下に温湿布のようにあてれば呼吸は楽になる。かつての暮らしには薬や医療に頼らない知恵があふれていた

▼新年を迎えインフルエンザ患者が県内で一気に増えた。県全域に注意報が出され、那覇市では警報レベルに達した。ピークはこれからというのが感染症に詳しい医師の見方。新学期が始まって学校での感染拡大という懸念も残る

▼1週間後に大学入試センター試験を控える受験生や家族は気をもんでいることだろう。ワクチン接種や手洗い、うがいなど自らの身を守る力を備えたい

▼予防したって感染は完璧には避けられない。急いで受診しなければ命にかかわる時はある。しかし発熱だけで食欲もあって脱水症状もなくて意識状態も良ければ救急受診せずに自宅療養の方が良いこともある

▼本来は不要なコンビニ受診は年々深刻さを増す。改善されれば救急医療現場の疲弊は軽くなる。インフルエンザが流行する今こそ、自宅で見守る力「おばあちゃんの知恵」の出番である。(溝井洋輔)