「さくらのまち」をうたう沖縄県名護市の名護城公園周辺のカンヒザクラが老木化し、腐食や台風による倒木などの被害が目立っている。毎年、開花の時期は桜目当ての観光客が大勢訪れるとし、民間団体「名護さくらの会」は市に保全や植え替えなどを求めている。

老木化で台風による倒木など衰退が進んでいる名護城公園の桜=名護市・同公園

 市も対策の必要性は認める一方、専門部署がないことや予算、人手不足などの課題が横たわる。県や市民、事業者を含めた維持管理や育樹の仕組み作りを模索している。

90年前に植樹

 名護城公園の桜の歴史は約90年前の1928年に、城青年団が50本を植樹したことに始まる。63年以降は毎年1月に「名護さくら祭り」が開かれ、県内外から多数の観光客が「日本一早い春」を楽しみに訪れるようになった。今年も26、27の両日の開催に向け、関係者が会場周辺の清掃など準備を進めている。

 「名護さくらの会」によるとカンヒザクラの寿命は80~100年。同公園では「初代」が更新の時期に当たる。7日に訪れると、枝が折れた木やシロアリ被害で幹が空洞化した木、倒木など衰弱ぶりが目に付いた。

守り育てる意識

 「さくら祭りなのに桜が咲いていない」。そんな市民の声もあり、市は2012年度に同公園周辺の桜の健康度調査を実施した。

 402本を5段階で評価したところ、「不良」が最多の168本で42%を占めた。「やや不良」144本(36%)、「著しく不良」63本(16%)と続き、「良」はわずか20本で5%にとどまった。

 調査後、市や同会は13年から開花を促進させようと、桜に肥料をやり、周辺の雑草を除去するなど年2回の育樹活動を続けている。同会は苗木の無償配布や植樹も手掛けるが、儀保充会長(57)は「植樹しても、よほど管理に手間をかけないと育たない。このままでは名護の桜は消えてしまう」と心配する。「市民全員に桜を守り育てるという意識を持ってほしい」と望む。

初の世代交代

 同会は20年の市制50周年を桜の普及の好機とし、市に対し、桜の苗の増産や、苗作りや維持管理を統括する専門部署の設置、苗木の成長を見守る「里親制度」の創設などを求めている。

 市商工観光局の担当者は同公園や市内の桜について「市民や事業者、県など多様な主体が管理や育樹を支える体制を構築したい」と説明。「桜を後世につなぐ努力が必要だが、市としても桜の『世代交代』は初めて。関係者と桜の特性を勉強し、共通認識を持った上で協議し、一番いい方法を見つけたい」と話した。(北部報道部・又吉嘉例)