大弦小弦

[大弦小弦]毎週土曜日の夜は「まんが日本昔ばなし」(1975年)を見て育ったから…

2019年1月15日 07:57

 毎週土曜日の夜は「まんが日本昔ばなし」(1975年)を見て育ったから、あの声は耳に焼き付いている。この番組で20年間声優を務め、戦争童話や平和憲法の朗読、原発ゼロ運動にも取り組んだ女優の市原悦子さんが12日、82歳で亡くなった

▼偶然だがこの正月、市原さんと樹木希林さんが共演した映画「あん」(2015年)を見直していた。ドリアン助川さんの原作を再読後、改めて見たかったから

▼小説の映画化はなかなか成功しないのが常で「あん」も例外ではない。ただ、2人の女優の力によって映画が原作を超えるシーンがある

▼老婦人がハンセン病回復者と知られ、働いていたどらやき屋を去る場面。原作にある店長との会話はなく、樹木さんはため息と表情だけでハンセン病者の絶望の深さを演じきった

▼市原さんは療養所に住む樹木さんの親友役。園を訪問した店長に、笑みを浮かべながら「私も…、働いてみたかったな」。活字では読み飛ばしていた言葉。90年間閉じ込められた当事者の願いを、あの優しい声が胸に響くセリフにした

▼市原さんは自著「白髪のうた」(春秋社)でつづる。「戦争をなくすこと、世界の問題と関わることも、女優の大事な仕事」。市原さんも、がんを押して辺野古を訪ねた樹木さんももういない。「大事な仕事」は若い役者たちに託された。(磯野直)

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