社説

社説[偽ニュース対策]メディア教育の充実を

2019年1月16日 08:29

 選挙や災害時のデマ拡散防止に向け、政府が本格的な対策に乗り出す。

 人々を惑わすフェイク(偽)ニュースは民主主義に対する脅威であり、放置してはならない。ルール作りとともに、情報を読み解く力「メディアリテラシー」を高める教育など重層的な取り組みを求めたい。

 事実とは異なる情報がニュース報道の体裁をとって、会員制交流サイト(SNS)などから一気に拡散するのが偽ニュースの特徴である。

 米大統領選ではトランプ大統領が有利になるような偽の記事が出回り、大きな政治問題となった。熊本地震では動物園からライオンが逃げたとのデマが流れ、騒動になった。

 沖縄に関しては、昨年9月の県知事選で候補者個人を誹謗(ひぼう)中傷する言葉や真偽不明の情報が大量に出回ったことが記憶に新しい。

 ネットで広がるデマを否定するため、翁長雄志前知事が県議会で「長女が中国の外交官と一緒になり、末娘は中国へ留学していると言われているが、二人とも一度も中国に行ったことがない」と発言したこともあった。

 一昨年、米軍ヘリの窓が落下する事故に見舞われた普天間第二小学校に対しては「やらせだろう」などといった心ない電話も寄せられた。フェイクとヘイト(憎悪)がごちゃ混ぜになって広がっているのだ。

 ネット事情に詳しい専門家は「フェイク」と「ヘイト」の悪循環が加速している、と指摘する。そのターゲットになっているのが沖縄である。

    ■    ■

 総務省が対策の対象に想定しているのは、SNSを手掛けるフェイスブックやツイッターなど米IT企業、アプリを通じてニュースを配信するヤフー、LINE(ライン)などの国内事業者だ。

 情報を集めて配信する「場」として機能している、これらプラットフォーム企業に、チェック体制の強化や責任の明確化など自主的な行動規範策定を求めたいとする。

 プラットフォーム企業がネット上で絶大な影響力を持っていることを考えれば、虚偽情報や人種差別的書き込みを垂れ流すことは許されない。

 憲法で保障された「表現の自由」は配慮されるべきだが、現実に起きている混乱や人権侵害に対して、社会的責任を負うのは当然だ。

 既にネット広告掲載を見送るなど広告主から責任を追及する声も出始めており、企業としてのスタンスが問われている。

    ■    ■

 欧州などと比べ、日本の対策は大幅に遅れており、政府は危機感をもって体制整備に取り組んでほしい。

 昨年の知事選で本紙は「ファクトチェック」のチームを作り、偽ニュースを検証した。誤った情報が投票行動に結び付けば、民主主義の根幹が揺らぐと考えたからだ。

 基本的な事実が共有されなければ、社会は分断される。

 偽ニュースの拡散を防ぐには、ファクトチェックに加え、一人一人のメディアリテラシーを磨いていくことも重要となる。

 
SNSから見える沖縄幻想のメディア

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