タイトルにぎょっとさせられる。本書は、戦後犯罪史に残る現金強奪事件について、真犯人の独白形式で書かれた小説だ。事件が起きたのは1968年。現在は「息子夫婦と暮らす一人の老人」であるという「私」は冒頭で、事件の背後には親友を巡るある悲劇があったと語る。当時は学生運動の盛んな政治の季節。