社説

社説[F15正面衝突の恐れ]滑走路改修の影響危惧

2019年1月17日 06:33

 米軍嘉手納基地で15日午前、F15戦闘機2機が1本の滑走路に両方向から進入して緊急着陸した。

 目撃者によると、2機は滑走路上の緊急停止用ワイヤに機体後部のフックを引っ掛けて約5分違いで向かい合うように着陸した。

 航空専門家が「聞いたことがない」と話すように、正面衝突の危険をはらむ異例の事態である。

 嘉手納基地には2本の滑走路があり、今回緊急着陸があったのは北谷町と沖縄市に面する南側滑走路だ。

 嘉手納町に面する北側滑走路は8日から補修工事が始まっており、南側滑走路1本で運用しているのが現状だ。

 改修工事は6月まで続く見通しで、今後も滑走路1本に訓練が集中するため、トラブルが頻発する懸念が払拭(ふっしょく)できない。

 滑走路は1時間にわたって閉鎖された。嘉手納に着陸できなかったF15戦闘機4機は普天間飛行場にダイバート(目的地変更)した。

 普天間周辺では同日、F15戦闘機の離陸時に自動車のクラクションに相当する騒音を超える114デシベルの爆音を記録した。住民からも市役所に苦情が寄せられた。爆音の拡散である。

 本紙の問い合わせに米軍は嘉手納の代替は「普天間飛行場と那覇空港」と明言している。「世界一危険な」普天間と、民間と自衛隊の軍民共用で手狭な那覇空港を代替にすることは容認できない。

 滑走路が1本になっても、訓練は変わっていないようだ。沖縄の基地負担の軽減に逆行するものである。

    ■    ■

 緊急着陸とほぼ同じ時刻に北谷町の沿岸部上空でF15戦闘機から「フレア」が発射されたことが目撃された。

 対空ミサイルが自分の機体に命中するのを防ぐための発火性を伴う熱源体である。

 海上には数人のサーファーがいたという。

 フレアを発射した機体から緊急着陸の際に使用するフックが出ていたとの目撃情報がある。

 緊急着陸する場合は予防措置のためフレアを落とすとされ、この機体と正面衝突の恐れを引き起こした機体と同じ可能性がある。

 過去にはF15戦闘機がフレアを嘉手納、北谷両町にまたがる米陸軍貯油施設の上空で誤射。芝生を焦がした。離陸前にフレアを落下させたこともある。誤射について米軍は操縦士の不注意が原因と公表していたのに比べ、現在の米軍の姿勢が後退しているのは明らかだ。

    ■    ■

 というのは正面衝突の恐れのある緊急着陸も、フレアの発射も米軍からの発表は一切なく、不安を募らせる周辺自治体への回答もないからだ。

 沖縄にある米軍基地の特徴は住民の生活圏に近接していることだ。當山宏嘉手納町長は「こういう時こそグアムなどに訓練移転し、訓練そのものを縮小すべきだ」と主張する。その通りである。

 政府は住民の生命と生活に関わることでありながら、通報がなくても抗議するわけでもない。もっと毅然(きぜん)と米軍に向き合ってもらいたい。

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