突然、部屋がミシミシと鳴りベッドが揺れ出す。3日未明に起きた地震で目が覚めた。布団の中でじっと体を硬くし、様子をうかがう。もし大きく揺れ出したら、と肝を冷やした
▼阪神、東日本と未曽有の大震災以降、県内でも地震保険の加入者が増え災害対策グッズが売れるなど、防災意識が高まっている。名護では1960年、チリ地震による津波で被害が出た
▼当時13歳だった大山政照・稲嶺区長は、朝刊配達に向かう途中で「津波どー」と叫び海辺から逃げてくる人々に気づき、急を知らせる早鐘を打った。急げ、と促されて必死だった
▼3メートル近い津波は、登校前の真喜屋小学校の1階をのみ込んだ。波が引いたら悪臭がひどくて、と話す大山さんは「海辺に住む男性が異変に気づいて叫んだことで、多くの人が助かった」と感謝する
▼2010年2月、県内で99年ぶりに起きた震度5弱の地震の際、阪神大震災を経験した知人は、急いで家のドアを開けに走ったという。ドアがゆがんで開かなくなり、閉じ込められた人を多く見たからだ
▼さまざまな過去を教訓に、各地域や自治体では災害マップ作成や避難訓練などが盛んだ。予期せず大地が揺れれば足がすくむが、いざというときの行動が生死を分ける。「ナンクルナイサ」の精神も、その時ばかりは返上せねば。(儀間多美子)