男を愛し、傷つけ合うたびに思うことがある。「この人の母親だったら良かった」と。母親と息子との男女関係は、悔しいほどに特別だ。深い愛と信頼で結ばれ、離れていてもお互いの存在を常に感じ合っている。

「それだけが、僕の世界」

 この映画の主人公は、母の愛も、家族のぬくもりも知らずに40歳を迎えた、おちたプロボクサー。暴力で家族を制する父親から自分だけ逃げ去った母を心から憎んでいた。

 しかし、突然再会した母に言いくるめられるように一緒に住み、突然存在を明かされた自閉症の弟の面倒をみることになり…と、人生が一変。悪態をつくもその姿が幸せそうなのは誰の目からも明らか。母の愛が男を優しくする。

 でもね、恋人は母親にはなれないの。だからこそ互いに気を使うべきなんじゃないか、と、声高に言いたい(怒)(桜坂劇場・下地久美子)

桜坂劇場で19日から上映予定