今、沖縄県民が口ぐせのように使っているフレーズが、

走る日本語、歩くしまくとぅば(ボーダーインク・1296円)

 「わかるよね?」

 芸能に限らず、沖縄の文化は「とても詳しい人」と「まったくの初心者」をつなぐ「やさしい架け橋」が少なく、「むずかしい事を、むずかしいまま、先輩へ口答えなどせずに、怒られながら学ぶ」という環境がまだまだ存在しているようです。

 そんな状態に、ウンザリしている人々の「ガス抜き」として、先にあげた「わかるよね?」は人気を博しているのかな~、でも、ずーっとそれでは、沖縄文化の未来は暗いですよね~。

 しまくとぅばに関しては、「先輩方に怒られてもいいから、まずは使ってみましょう!」と励まされることもあります。う~ん、それでいいのか文化継承~。

 もはや、沖縄にルーツがある若い世代や、県外・海外から移住し、生活を送っている皆さんにとっては「しまくとぅば」は日常語ではなく、どちらかといえば「外国語」に近いのではないでしょうか。

 今回、紹介する本は、そんな皆さんへの「やさしいかけ橋」として、ぜひ、ご一読いただきたい。

 この本のポイントは、「言語学から見るしまくとぅば」です。

 「沖縄の人って、『クーラーが逃げる』って言うよね~」というのは、わりとよく知られた「沖縄あるある」ですが、言語学では、このような言い回しは「メトニミー」と称されるとのこと。

 沖縄のことわざ「黄金言葉(くがにくとぅば)」については「メタファー」「マッピング」という言葉でひもとかれていきます。

 また、著者の石崎さんが大学教授ということもあり、学生からのリサーチもたびたび登場。今の学生は「でーじ」は、もうほとんど使っておらず、大変なことは、もっぱら「めっちゃ」で表現しているそうです。

 まるで標本箱の中に入った「しまくとぅば」を、研究室で博士に解説してもらっているような不思議な感覚。

 「しまくとぅば」は沖縄の伝統でもあるが、それよりも何よりも「世界の中の一言語」である。そんな知的好奇心あふれる軽やかな視点から読み進めていただければと思います。(紙芝居作家・さどやん)

 【著者プロフィール】いしざき・ひろし 1970年金沢市生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士。琉球大学法文学部准教授を経て2018年4月より佛教大学文学部中国学科准教授。