ビールが好きだ。この数年人間ドックで厳しく指摘を受ける体重や尿酸値との兼ね合いで量はかなり減ったが、酒席の始まりに味わう、あの爽快感は欠かせない

▼21年前にベルギーを旅した目的の一つがビール王国の逸品を飲み歩くことだった。毎月2銘柄の外国産が届く通販のサービスに加入し、1年間、世界の名品も味わった。でもやはり思うのは「地元のビールが断然うまい」

▼沖縄を代表する「オリオンビール」に国内大手証券グループと米投資ファンドが関わる買収話が持ち上がった。「戦争ですべてを失った沖縄に産業を興す」。初代社長の具志堅宗精氏ら創業者の思いで同社は立ち上がった

▼発売開始時に取り組んだ大規模な販促活動を覚えていたのは、西銘順治氏ら大物政治家も通ったという桜坂の老舗カフェーのママ。「うちのビールを飲んでくださいって社長さんが回って来て驚いた。白い帽子だったから、最初は保健所の検査かと思ったよ」

▼大手資本と向き合ったとき、県内企業は分が悪い。過去にも多くの会社や商品が「資本力」の大波に飲み込まれ、消えていった。県産品の象徴ともいえる「三ツ星」が、今と同じように生産が続けられるのか、気に掛かる

▼買収話の先行きはまだ不透明だ。BEGINのヒット曲のように、「あり、乾杯!」と盛り上がれる存在であり続けてほしい。(玉城淳)