「三ツ星」は沖縄の空で輝き続けることができるだろうか。

 野村ホールディングス(HD)と米投資ファンドのカーライル・グループがオリオンビール(浦添市)を買収する方針であることがわかった。

 オリオンの経営体質の強化を図るとともに、カーライルが持つ海外のネットワークを生かして販路拡大に取り組み、収益力を高める狙いがあるとみられている。

 オリオンの筆頭株主は2002年に包括的業務提携を結んだ業界最大手のアサヒビールで、10%の株式を保有している。

 野村HDなどはアサヒ以外の創業家や個人を中心とする約600人の株主から株式を買い取る方針で、買収金額は数百億円に上る見通し。

 ビールの国内市場は人口減少や若年層のアルコール離れなどで縮小している。

 オリオンも例外ではなく、ビール類の売上数量全体の約8割を占める県内でも減少が続いている。

 オリオンは近年、海外の販路開拓に活路を見いだそうとしている。15カ国・地域に販路を拡大し、台湾や北米を中心に輸出を伸ばしている。海外・県外向けは約2割にとどまるが、約3割に引き上げる計画を立てている。

 唐突に出てきた買収ニュースはオリオンにとっていいことなのかどうか、よくわからない。経営難に陥っているわけでもないのになぜ買収されるのか。オリオンがどこへ向かうのか、不透明感が漂う。

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 企業価値を高めた後、いずれ売却して高収益を上げるのが投資ファンドである。

 嘉手苅義男会長は本紙の取材に「オリオンビールは沖縄の企業として残さないといけない」「沖縄に根差していく姿勢は今後も変わらない」と強調するが、買収されてもそれができると言い切れるのだろうか。買収後は経営の主導権は野村HDとカーライルに移るはずだからである。

 オリオンはホテル業にも進出しており、関連会社や不動産を切り売りされることはないのか。従業員の雇用もどうなるのか心配である。

 復帰に伴う激変緩和措置で続く酒税の軽減措置は2019年度の税制改正大綱で2年延長が認められたばかりだ。その後は見通せなくなった。

 グローバルな投資ファンドに買収されると、世界経済に巻き込まれ、地元事情よりも、利益の追求が最優先されるだろう。懸念は尽きない。

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 オリオンは沖縄の気候風土に合った爽快な味わいで、沖縄アイデンティティーをまとったビールである。1957年の設立に合わせ、株式を募集、政財界や一般大衆が株主になった。オランダ資本の会社から約50%の取得申し入れがあったが断っている。地元資本にこだわったのである。

 「地域社会への貢献」が経営理念の一つ。緑化事業、高校生に返済義務のない就学金給付、スポーツなど地域振興に積極的な企業である。

 オリオンは週明けにも従業員説明会や記者会見を予定している。ブランドや経営体制はどうなるのか。そういった多くの疑問に答えてほしい。