新基地建設の賛否を問う県民投票の全県実施を巡って、先週末から、さまざまな動きが一気に表面化した。

 沖縄、うるま、宜野湾、宮古島、石垣の5市が県民投票への不参加を表明しており、このまま県民投票が実施されれば、全有権者のおよそ3割が投票できなくなる。

 事態をどう打開するか。

 すべての有権者の投票権が平等に保障されるためには、すべての市町村で県民投票が実施されなければならない。

 不参加を表明している5市の翻意を促すため、県議会の新里米吉議長は20日、与党3会派に条例改正に向けた私案を示し、意見を求めた。

 「賛成」「反対」のどちらかを選ぶ現行の2択に、新たに「どちらとも言えない」を加え、3択とする案だ。

 しかし、3会派のうち「社民・社大・結」と「おきなわ」の2会派は3択に強く反対、現条例での全県実施を主張した。

 2択には条例制定を請求した人びとの思いが込められており、法的な瑕疵(かし)のない条例を改正する必要はない-というのが与党2会派の主張だ。

 調整が完全に頓挫するかに見えた21日、玉城デニー知事は、与党の全会一致を条件に、選択肢を3択にする条例改正を検討したい、との考えを新里議長らに伝えた。

 全県実施がスムーズに進むのであれば、私たちはこの案を支持したい。どうすればすべての有権者の投票権を保障することができるか-が、現時点では何より重要だと思うからだ。

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 「辺野古」県民投票の会は21日、全県実施の政治的環境が整うのであれば、「条例改正に柔軟に対処する」との声明を発表した。

 ここに来て知事と県民投票の会の足並みがそろったことになる。

 全県実施を最後の最後まで追求してほしいが、ただ、県民投票連絡会など市民団体の中にも2択で実施すべきだとの意見は根強い。

 玉城知事も新里議長も、与党が一致することが条例改正の前提だとしている。

 県民投票を推進してきた人びとが「2択」か「3択」を巡って対立を深めることだけは何としても避けたい。

 不参加を表明した市長の中には「市と県は対等。投開票事務を執行するかしないかは市長の裁量で判断できる」と主張する人がいる。

 投票権はその程度に軽いものなのか。決してそうではないはずだ。

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 投票権は、憲法、地方自治法、県民投票条例という三重の層によって付与された住民の基本的な権利である。

 これが市長の裁量に基づき政治的な理由で奪われることになれば、民主主義と地方自治が根幹から揺らぐことになる。

 全有権者の3割が投票できないという事態は、なんとしても避けたい。市長はそのような最悪の事態の回避に努力してもらいたい。

 議論の結果がどうなるにせよ、県や県議会与党は、なぜそういう選択をしたのか、を県民にきちんと説明する必要がある。