【東京】米軍統治下の沖縄で生きる若者たちを描いた小説「宝島」(講談社)で直木賞を受賞した真藤順丈さん(41)が22日、都内で沖縄タイムスのインタビューに応じた。名護市辺野古の新基地建設に関し「なぜ(沖縄と政府が)対立しているのか(受賞作が)考える一助になれば」とした。その賛否を問う県民投票については「1票は声。その声を奪うことはしないでほしい」と話した。

沖縄タイムスのインタビューに答える真藤順丈さん=22日、東京都文京区の講談社

「目を向けなければいけないもの、戦後の沖縄に」

 「宝島」は、米兵による人身事故をきっかけに、住民が米国人車両などを焼き払った「コザ騒動」や、宮森小学校への米軍機墜落事故など史実をたどりつつ、基地内から物資を奪い「戦果アギヤー」と呼ばれる若者の生き様を描いている。

 真藤さんは執筆のきっかけを「敗戦から経済成長し、今に至る日本の成り立ちで、私たちが目を向けなければいけない大事なものが戦後の沖縄にあるとずっと感じていた」と語る。

 「戦果アギヤー」の存在は「生活に必要な糧を奪うとともに、戦争や時代に奪われた土地や場所を自分たちの手に取り戻すものだった」とし、今の基地問題も「奪われたものを奪い返すという点では、戦果アギヤーに集約される」と話す。

 その上で「歴史的な背景を『本土』の人たちが知らない。無理解、無関心がある。なぜ知事が先頭に立って対立しているのか考える一助になれば」と願い、「忌避したり、陰でうわさしたりするのではなく、表立って議論するところを目指すべきではないか」と語った。

 戦後沖縄の歩みに関し「悲劇的な出来事がある中でも、人々の普遍的な営みがあった」とし、本作の役割について「登場人物たちと追体験することで、(読者が)自分のこととして考えられる」と話した。 本作は沖縄の「しまくとぅば」を多用している。「大きな挑戦だった。沖縄の方々がどう受け止めるのか、賛否を含めて聞いてみたい」と語った。(東京報道部・西江昭吾)