野村ホールディングス(HD)と米投資ファンドのカーライル・グループは23日、オリオンビール(浦添市、與那嶺清社長)の買収を正式発表した。野村HD側が過半を出資する特別目的会社(SPC)を通じ、24日から株式公開買い付け(TOB)を始める。完全子会社化し、5年後の上場を目指す。買収額は約570億円に上る見通し。海外などへの販路拡大を進め、収益力を高める考えだ。

記者会見するオリオンビールの與那嶺清社長(右)、亀田浩取締役=23日午後5時すぎ、浦添市の同社

オリオンビール

公開買い付け(TOB)の仕組み

オーシャン・ホールディングスによる今後の手続き

記者会見するオリオンビールの與那嶺清社長(右)、亀田浩取締役=23日午後5時すぎ、浦添市の同社
オリオンビール 公開買い付け(TOB)の仕組み オーシャン・ホールディングスによる今後の手続き

 オリオンは同日の取締役会で「沖縄の地域経済・社会に貢献していく姿勢を堅持する」ことなどを前提として、買収を受け入れる方針を了承した。

 TOBは野村HD傘下の野村キャピタル・パートナーズ(NCAP)が過半を出資するSPC「オーシャン・ホールディングス」を通じて実施する。1株7万9200円で24日から3月22日までの予定。

 オリオン側も株主にTOBへの応募を推奨するため、一気に取得が進む可能性がある。その後、強制的に買い取る手続きも含め、6月をめどに本社ビルの管理会社である「幸商事」を除くすべてのオリオン株を取得する計画。

 幸商事はTOBに応募しないが、SPCは幸商事株を全て取得する。オリオンは事実上、完全子会社となるが、上場の際には、地元企業にも出資を呼び掛ける方針。またTOB終了後、SPCにオリオンの嘉手苅義男会長が出資し、経営陣による自社買収(MBO)の形を取る。

 現在10%の株を保有し、包括的業務提携するアサヒビールもTOBに応じた後に再出資し、商品の開発や販売の協力関係はこれまで通り続ける。

 新たな役員体制はオリオン側が4人、野村3人、カーライル3人、アサヒ1人の計11人となる。嘉手苅会長と與那嶺社長は取締役に残る予定。従業員の雇用も継続する。浦添市の本社で記者会見した與那嶺社長は、「県民のビールであるというアイデンティティーを維持し、新たな歴史を築きたい」と述べた。