その城壁は、加工された白っぽい石がきれいに積み重ねられている。強度を増す技術が施される「面白い積み方」という。グスク研究第一人者で沖縄考古学会顧問の當眞嗣一さん(74)は繰り返し眺めては時代背景に思いを巡らせる

▼世界遺産の中城城跡で崩れる可能性があった城壁を修理するために取り外したら内側から古い城壁が現れた。土台の地層からは中国製の陶磁器が出土した

▼陶磁器などから中城の城壁で最も古い14世紀前半に造られたとみられることが分かった。護佐丸が居城する前の先中城按司の時代である。古い城壁を新しい城壁が覆う工法は首里城の一部でみられるが、「これほどの広さでみつかるのは珍しい」と當眞さんは話す

▼外側の城壁の物語も興味深い。幕末にペリー提督が中城に立ち寄ったときの随行者の絵にはこの城壁はなかった。1917年の英国人の絵には描かれているため、この間に築かれたとみられる。崩れかけた最古の城壁を抑えて補強するために

▼今回の発見は文化財保存で学ぶ点がある。當眞さんは「いかに後世に引き継ぐか、残すという視点を現代人は見習わないといけない」という

▼次の時代につなぐため外側の城壁は再び積まれる。修復が始まるのは2月上旬。最古の城壁が再び長い眠りにつく前にもう一度目に焼き付けておきたい。(溝井洋輔)