県内初の民間人校長、横山芳春さんが今月、10年間の校長生活を終えて定年退職する

 ▼那覇市の宇栄原小で5年、宜野湾市の長田小で3年、豊見城市の座安小で2年、一貫して「授業中心の学校づくり」に取り組んだ。民間人校長といえば、全国的には市場原理主義や不祥事の代名詞となってしまったが、横山さんは異質の存在だった

 ▼奇をてらわず、あえて王道を行った。教員出身でない校長がこれほど「日々の授業の質」にこだわった例はないだろう。教師が子どもに向き合うための時間確保に力を注ぎ、時には教師たちと一緒になって教材研究に没頭した

 ▼短絡的なテスト対策に走るのでなく、表現活動などの「回り道」を重視する方法で子どもの集中力を養った。結果的に学力向上につながり、宇栄原小も長田小も学力テストで県平均を上回るまでになった

 ▼座安小では本年度、下位の子を減らすため土日や放課後の補習をした。その結果、12月の県の到達度テストで正答率40%未満の子が1人もいなくなった。県教委の担当者も驚いたという

 ▼いずれの赴任校でも成果が顕著になり、さあこれから、というところで異動・退職となったことが残念でならない。沖縄唯一の民間人校長が何をやり、何をやりきれなかったのか。採用者の県教委には検証してもらいたい。(田嶋正雄)