女子テニスの大坂なおみ選手が全豪オープンで初優勝した。昨年の全米オープンに続き、四大大会2連勝の快挙である。

 男女シングルスを通してアジア勢初の世界ランキング1位になることも確定。日本のテニス界の歴史に新たな一ページを刻んだ。若きエースが成し遂げた偉業を称(たた)えたい。

 メルボルンで行われた全豪オープン決勝の相手はウィンブルドン選手権で2度優勝しているペトラ・クビトバ選手(チェコ)。約2年前自宅で強盗に襲われ利き腕の左手首を負傷。選手生命が危ぶまれたがそれを乗り越え、6試合をすべてストレートで勝ち上がった実力派である。

 大坂選手は第1セットは強烈なサーブとショットを生かして先取。第2セットは3度のマッチポイントの好機を生かせず、最終の第3セットはブレークに成功し押し切った。2時間27分に及ぶ激闘の末、7-6、5-7、6-4で競り勝った。

 テニスはメンタルのスポーツといわれる。大坂選手は試合中に泣きそうになったり、イライラしてしまったりすることがたびたびあった。

 今回第2セットを落とした際に「ちゃんと現実に向き合わなければ」と気持ちを立て直すなど、悪い流れを断ち切り、スイッチを前向きに切り替えようとする場面がみられた。精神面の成長がうかがえるところだ。

 大坂選手の心の成長を支えたのは昨シーズンからコーチに就いたサーシャ・バイン氏らである。元世界ランキング1位のセリーナ・ウィリアムズ選手(米国)らのコーチを務めるなど経験豊富で、対話を重視し「試合を諦めない」我慢強さを説いた。

    ■    ■

 近年の女子テニス界には絶対的な女王がおらず、「戦国時代」といわれる。混沌(こんとん)とした状況から、大坂選手が一歩抜け出しつつある。

 21歳。目を見張るスピードで技量面でも「進化中」である。武器である200キロ近いサーブや強打に加え、ショットの精度など一つ一つ磨いてきたからだ。

 日本の女子選手は体格面の不利を技術で補ってきた。だが、身長180センチの大坂選手は体格でひけをとらない。

 厳しいトレーニングと食事制限で体を絞った。オフに走り込み、弱点だったフットワークを強化した。最後まで「ほとんど疲れなかった」と振り返るように、今大会では長いラリーにも対応できるようになった。

 「大坂時代」の到来を印象付ける試合ぶりだった。

    ■    ■

 父はハイチ出身、母は日本人。大阪市で生まれ、3歳から米国暮らし。ハイチでもネットメディアが速報した。

 日本語はたどたどしいが、「なおみ節」と呼ばれる天真らんまんさがファンを引きつける。表彰式でも「メモを読んでいたけど内容を忘れちゃった」とユーモアたっぷり。

 大坂選手は「世界ランキング1位はゴールではない。勝ち続けることだ」とさらなる高みを目指す。世界のプレーヤーから追われる立場になるが、「絶対女王」の座を目指し、長く維持してもらいたい。