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拳を振り上げたり、ガンバロー三唱ではなく… 「#」で気持ち表現

2019年2月1日 05:00

■幻想のメディア SNSの民主主義(5)第1部 何が起こったのか

 2018年の県知事選。玉城デニー候補(当時、現知事)の支持者の会では、これまでほとんど選挙運動をしたことがない10〜20代中心の約60人が「若者チーム」を発足させていた。

県知事選での若者の選挙運動に興味を示す県外の学生たちと交流する徳森りまさん(中央)=14日、那覇市内

 チームの役割は、ビラの配布など従来の選挙運動に加え、SNSでの発信や若者向けイベントの企画。その中で生み出されたある言葉がSNSであっという間に拡散された。

 〈#デニってる〉

 候補者を支援する気持ちを表現する言葉として若い支持者の会話からできた造語だ。いつしか、特定のテーマについての投稿を検索できる機能「#(ハッシュタグ)」を付けて発信されるようになり、支持者以外のSNSでも使われるようになった。告示後の選挙集会では「デニってる」コールが起きた。

 チームを引っ張ってきた徳森りまさん(31)=那覇市=は「いつもの集会だと拳を振り上げたり、ガンバロー三唱したり。でもそれは若者になじみがない。あの言葉は、若者たちの選挙への抵抗感を少なくし、発信しやすくしてくれた」と振り返る。

 一方、インターネットを使った選挙運動の怖さも実感した。

 県知事選直後の那覇市長選では、玉城候補を支持した若者の多くが城間幹子候補(当時、現市長)の応援に回った。その一人、ある学生(21)は、市長選告示後、ほかの支持者と共に朝の通行車両への呼び掛けに参加した様子を写した写真をネットに上げたいと選挙事務所の担当者に相談され、了承した。だが選挙後、学生はその画像を思わぬところで目にすることになった。

 学生の選挙運動に否定的なコメントとともに画像が使われていたのは、動画投稿サイト「ユーチューブ」で流れているネット番組だ。学生は「まさか自分の画像が、知らないところで別の動画の材料に使われるとは思わなかった」と驚く。ネットで公開された情報の二次使用は避けられないと強く感じた。

 就職活動を控えているという学生。「間違ったことはしていないけど就職の面接官があの動画を見ているかもしれないと思うと」と表情を曇らせる。「いったんネットで扱われると、自分が嫌でも流布されてしまう。それが怖い」(「幻想のメディア」取材班)

 [ことば]ユーチューブ(YouTube) 無料で利用できる動画投稿サイト。独自に制作した番組を継続的に公開し、その広告収入で生計を立てる人や集団を「ユーチューバー」と呼ぶ。

<幻想のメディア(6)「フェイクニュース」に続く>

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