千葉県野田市の小学4年栗原心愛さん(10)の虐待死が疑われる事件で、引っ越すまで住んでいた沖縄県糸満市が父(41)=傷害容疑で逮捕=の児童虐待や母親(31)に対するDV疑い相談を受けていたのに、心愛さん本人に事実関係の聞き取りをしていなかったことが31日、分かった。同市が当時の記録をもとに答えた。専門家は「市として本人から話を聞く必要があった」と話している。(南部報道部・堀川幸太郎)

小4女児死亡 糸満市での動向

 糸満市は「もし、話を聞き取っていても、虐待の有無を判断するための事実の一つであり、虐待があったと言えたかは分からない」としている。

 市によると、心愛さんの母親は2017年6月、低体重児の次女1を出産。退院後「夫の暴力を受け、怖い。娘もどう喝されていて、暴力を受けるのではと不安」と親族に伝えた。

 同7月、親族から相談を受けた市は、心愛さんの小学校に虐待疑いを伝えて見守りを要請した。兆候があれば連絡があるはずだったが、なかった。事件を受け、市教育委員会は今後、心愛さんが通っていた市内の小学校の養護教諭らの話も聞くとしている。

 児童相談所職員だった山野良一・沖縄大学教授=児童福祉学=は、市は父親の心愛さんへの虐待は確認できなかったものの、母親へのDV(ドメスティックバイオレンス)は認め転居先の野田市に情報提供文を送付していることを指摘し、「親のDVを子が見ること自体が心理的虐待に当たると児童虐待防止法でも規定されている。困り事がなかったか、大人が彼女の話を聞く必要があった」と話した。「望ましい見守り方は市と学校で共有されていたのか。対応に改善できる点はなかったか、市としても独自に検証するべきではないか」とした。