うりづんの季節の美の祭典「沖展」が開幕した。会場となった浦添市民体育館には、7部門12ジャンルの890点が並ぶ
▼絵画があれば、木工あり、書道ありと分野は幅広く、扱うテーマも多様で、これが「沖展カラー」とひとくくりにするのは難しい。ただ一点一点をよく見ていくと、どのコーナーにも時代の課題と向き合うヒリヒリする作品がある
▼独特のユーモアの中に社会的メッセージを備えた表現が今年の特徴だろうか。昨年以降「オスプレイ」をモチーフにした作品が目立つが、表現としての強度は、より強まっているように感じる
▼絵画部門の与久田健一さんの「ひっくり返った裏切った…?!」は、あえてキャンバスを裏返しにし、普天間移設問題で自民党議員の公約破りを伝える新聞記事を数枚貼る。異彩を放つこの「反絵画的な作品」の前で、参観者は思わず足を止めていた
▼版画部門の小出由美さんの「戦争の足音」と題する作品も面白い。安倍晋三首相の肖像画と思って近づいてみると、それがオスプレイや旭日旗など、長方形の小さな画像の組み合わせでできていることに気付く
▼沖縄という地域に根ざした「風土の芸術」が沖展である。文化や戦争体験、基地問題など「沖縄」にこだわった作品から、作者のメッセージを読み取りたい。(森田美奈子)