千葉県野田市立小4年栗原心愛(みあ)さん(10)の虐待死が疑われる事件で、転居前に心愛さんが通った糸満市立小学校が、市役所から見守りを要請されたのにもかかわらず、対応を記録していなかったことが1日、分かった。市教育委員会は「記録を基に、課題を共有するのが望ましかった」と不備を認めた。

栗原心愛さんの虐待疑いを巡る小学校の対応を説明した糸満市教育委員会の大城直之指導部長(手前)ら=1日、同市役所

糸満市教委が不備認める

 父(41)=傷害容疑で逮捕=の心愛さんへの虐待や、母親(31)に対するドメスティックバイオレンス(DV)は2017年7月、親族が市に相談。市職員が同月12日、同小に見守りと、虐待の兆候を認めた際の連絡を求めた。翌8月、心愛さんらは千葉県野田市に転居した。

 糸満市教委は事件報道後の今年1月26日から、校長や元担任らから当時の話を聞き取っている。少なくとも心愛さんと同じ3年生担当の男女複数の教諭や、養護教諭も虐待疑いの情報を共有しており、対応の有無などを確認中。元担任は取材に「手足など見える範囲にあざはなかった」と答えていた。

 市教委は学校からの聞き取り内容として(1)虐待の疑いがあると聞き、通常以上に意識し表情や態度などを見守った(2)悩みがあるかや家の状況を担任が1対1になったときに尋ねた(3)虐待やDVの有無は直接聞いていない(4)教育相談やいじめの対応方針に沿って対応したと思う-などを挙げた。

 名城健二・沖縄大学教授=精神保健=は「子どもの相談を記録に取ることで情報共有と支援につなぐことができる」とし、「行政や病院は記録を引き継ぐ。保護者や子どもの記録簿を作り、誰が相談を受けても情報を入力し、定期的にチェックする体制をつくってほしい」と話し、検証委員会開催を提案した。

 1日は心愛さんや家族を見守った市福祉部、市民健康部、市教委指導部が市議会に当時の対応を非公開で説明した。終了後、各部別々に取材に応じた。