名護市は市役所庁舎の壁面(国道58号側)に並ぶしっくい製のシーサーを、3月末までにすべて撤去する。1981年の庁舎完成時に56体が設置されたが、近年は台風や塩害の影響で破損したり落下したりしているためだ。瓦職人が一体一体手作りしたシーサーは市のシンボル的存在で、市民からは惜しむ声も上がっている。(北部報道部・又吉嘉例)

台風などの影響で劣化し、3月末までにすべて撤去される名護市庁舎のシーサー=1月31日

頭部などが破損したシーサー

台風などの影響で劣化し、3月末までにすべて撤去される名護市庁舎のシーサー=1月31日 頭部などが破損したシーサー

安全性考慮  「シンボル」に惜しむ声

 同庁舎は81年に日本建築学会賞を受賞した。台座から海を望む56体のシーサーは市内に55ある字あざ(集落)と市庁舎自体を表す。しかし劣化が進み、現在は残っているのは45体だ。

 市は比較的状態のいい10体は博物館倉庫に保管し、残りは処分する。

 庁舎建設当時、設計に当たった「象設計集団」で担当チーフを務めた東京の建築家、内田文雄さん(66)によると、シーサー作りは本島や離島の瓦ぶき職人56人が手掛けた。瓦ぶき屋根の景観がコンクリート造の建物に変わる中で「人の手の跡を残し、思いをすくい取りたかった」と振り返る。

 設置時は家族を連れてくる職人もいた。「子や孫にはつらつとした姿を見せていた」と内田さん。「もう少し名護へ行って、保全のお手伝いをすれば良かったのかな。寂しいですね」

 名護市の会社員、金城勝児さん(50)は「名護市のシンボル。完成時はすごい、すごいと市民が毎日見に来た。撤去はもったいない」と惜しんだ。同じく会社員の末吉業利さん(45)は「劣化したしっくいは危ないのでしょうがない。全部撤去した上で再設置を考えたほうがいい」と提案した。

 金城秀郎副市長は現時点でシーサーを新調する予定はないとし、「市民から寂しいという声や、いろんなアイデアが出てくれば検討したい」と話した。